いちのりの資産運用日記

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ナスダック100関連ニュース【広告あっても見るんじゃない?】

ネトフリ変節の内幕、広告付きプランを急いだ訳

 

 動画配信サービス大手ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は長年、コンテンツ内で広告は流さないと強調してきた。だが昨年終盤、方針を180度転換。しかも、単に広告事業に参入しようとするだけでなく、それを急いだ。同社はエンジニアを集め、技術的な課題を探った。幹部はすぐに、当面は技術や営業力を提供してくれる外部パートナーが必要だと判断した。

 

春にこの計画を発表し、契約獲得合戦を演出。アルファベット傘下のグーグル、ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャスト傘下のNBCユニバーサル、ダークホースのマイクロソフトが参戦した。ネットフリックスの目標の一つは、大きな「最低保証」を獲得し、多額の広告収入を確約してもらうことで財務リスクを抑えることだった。この交渉に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 

 また、広告販売のビジネスについてほとんど知らないことを認識し、広告の専門知識を持つ上級幹部探しにも乗り出した。コムキャストと提携交渉を続けている最中に、少なくとも2人の同社幹部に上級職を打診し、同社の上層部を怒らせた。交渉に詳しい関係者の一部が明らかにした。

 

 ネットフリックスは来年初めに広告付きの低価格プランを導入する。広告市場への急な参入は、レンタルDVDの郵送からストリーミングに移行して以来、最も劇的な方針転換だ。この背景には、過去10年余りで最も困難な局面を迎え、軌道修正を図りたいとの意向がある。何年も無敵に見えてきたネットフリックスだが、競争激化に直面し、2四半期連続で会員数が減少。株価は今年に入って約3分の2値下がりしている。

 

 ヘイスティングス氏は、広告事業に対して金銭的に大きな野心を抱いている。同氏をはじめとする経営幹部はここ数カ月、投資家や広告業界の経営者に対し、特定の視聴者層にターゲットを絞る手助けをすることで、最終的に広告視聴回数1000回につき約80ドル(約1万0700円)を広告主に課せるようになると内々で語っている。この協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。そうなれば、ネットフリックスは、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の一番人気の放映番組と並ぶ最も高額な広告媒体となる。同社は広告付きプランの料金を明らかにしていないが、現在の最も安いプランの料金(9.99ドル)よりも安くなる見通しだ。

 

成長の再活性化に向けた方針転換は、広告付きプランの導入だけではない。これまで顧客によるパスワードの共有は問題視しておらず、ヘイスティングス氏も2016年にその慣行を支持する発言をしていたが、2023年に共有アカウントに追加料金を課すことを計画している。

 

ネットフリックスの会員者数は増加しているが、有料会員とパスワード借用者の比率は、この指標に詳しい関係者によると、ここ数年ほぼ一定している。これは、パスワード共有者がサービスを試した後、必ずしも有料ユーザーに転換していないことを示唆している。一部のアナリストはこう話す。

 

調査会社アンテナによると、ネットフリックスのサービス解約率はピークとなった4月からは減速しているが、新規顧客のうち最初の1カ月の無料視聴期間が過ぎてもサービスを使い続ける人は減っている。

 

アンテナによると、5月に加入した新規会員のうち、1カ月以内に解約した人の割合は22%と前年同月の17%から増加している。ネットフリックスは、今年初めに米国で行った値上げが解約率の上昇につながったものの、値上げ前の水準に戻りつつあるとしている。

 

また、番組の全話を一度に配信する「イッキ見モデル」は続けると述べているが、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の最新シーズンなど、一部の人気シリーズで分割配信を始めており、1話ずつ公開するAMCやHBOなどの従来のテレビ局のやり方に近づいている。一部のアナリストは、そうした配信方法は解約や、解約と再加入を繰り返す行為を防ぐのに役立つと話す。

 

ヘイスティング氏とテッド・サランドス共同CEOにとっての課題は、約2億2000万人の会員を引きつけるネットフリックスの魅力を損なうことなく、新たな収入源を確保することだ。広告付きの低価格プランの提供やパスワード共有の禁止は、一部の既存顧客を遠ざけることにもなりかねない。

 

会員者数の連続減少にもかかわらず、ネットフリックスは世界中のネット利用者に巨大な成長性を見出している。この事情に詳しい関係者によると、同社は今後3年間で最大5億人の会員を扱えるよう、社内でインフラを強化しようとしている。

 

ネットフリックスは7-9月期(第3四半期)に盛り返し、会員数を増加に転じさせることを見込んでおり、今後もストリーミングに特化した企業として優位に立ち続けるとしている。


<プロジェクト「クリックル」>

 ネットフリックスは何年も前から広告事業への参入を考えてきた。約10年前、財務とコンテンツ戦略の上級幹部がその可能性を探った。

 

どのくらいの顧客が広告付きの低価格プランを選ぶかや、ネットフリックスはどのコンテンツに対して広告を配信する権利を持っているか、広告を付けることがユーザーの体験にどのような影響を及ぼすかを検討したという。既存の広告付き動画配信サービス「クラックル」をもじって「クリックル」と命名されたこの秘密プロジェクトでは、ライセンス権の再交渉にどのくらいのコストがかかるかを分析し、カナダで最初に導入することを構想していた。この協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 

しかし、それは実現しなかった。同関係者によると、ネットフリックスは当時、西欧や日本、その他のアジア市場で積極的に海外事業を拡大しており、ヘイスティングス氏は世界展開を、同社が勝つためにもっぱら集中すべき目標だと考えていた。広告付きプランの構築は、会社が注意散漫になるほか、広告があふれるメディア市場でネットフリックスが作り上げた広告のない聖域を破壊することになる。ヘイスティングス氏は、スタッフにこう語っていた。

 

同氏は投資家やネットフリックス幹部に対し、グーグルやフェイスブックなどの巨大企業と広告収入を奪い合わなければならない事態は避けたいとも話していた。「ネットフリックスに広告は導入しない。以上」。同氏は2015年にフェイスブックにこう投稿した。

 

同氏のここ数カ月の変節は、会社の成長を巡る現実的な問題が一因だが、ネットフリックスの広告計画に詳しい複数の関係者によると、Hulu(フールー)やHBOマックスなどの競合のストリーミングサービスに関する市場調査も影響している。それによると、HuluやHBOマックスの広告付きプランの利用者の顧客満足度は低下していない。

 

ネットフリックスのスペンサー・ノイマン最高財務責任者CFO)は3月に開かれたカンフェレンスで、広告は「絶対にあり得ないとは言わない」と述べ、同社が従来の姿勢を再考していることを初めて公に示唆した。ヘイスティングス氏は翌月の決算電話会見で、広告付きプランを模索していることを明らかにした。

 

 共同CEOやCFO、グレッグ・ピーターズ最高執行責任者(COO)をはじめとする経営陣はそのアプローチを計画するに当たり、広告業界をくまなく回り、広告枠の買い手候補やその他幹部と話しをした。この協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。ネットフリックスの幹部は、コンテンツ内で表示する広告の数から広告の見た目に至るまで、さまざまな助言を受けた。ネットフリックスは、どのような形式の広告になるかは明らかにしていない。社内の協議に詳しい複数の関係者によると、内部では番組の開始前に大手ブランドの動画広告を流すことに加え、アプリ内に静止広告を表示することなどが議論された。

 

ヘイスティングス氏の決算会見での発言をきっかけに、ネットフリックスと提携し、サービスを迅速に開始するために必要な広告技術や人員も提供する企業の座を巡る争いが展開された。ネットフリックスの要求の中には、世界中の市場から一定の広告収入を保証する事が含まれていた。同社の要求に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 

ネットフリックスは広告業務を長期的に外注するつもりはなかった。3年契約を結び、その間に独自の広告インフラを構築することを考えていたと関係者の一部は話す。ネットフリックスの計画に詳しい複数の関係者によると、当初は今年の10-12月期(第4四半期)に広告付きプランを導入することを目指していた。しかし、それを延期し、直近の決算会見で2023年初めに開始することを明らかにした。

 

<「カラマリ」作戦>

 メディア業界やテクノロジー業界の大手も受注合戦に加わった。グーグルには、巨大なデジタル広告インフラに加え、動画広告やユーチューブから得たブランド提携のノウハウがあった。

 

 コムキャスト傘下のNBCユニバーサルは、ネットフリックスのヒット作「イカゲーム」をほうふつとさせる「カラマリ(イカリング)」というコード名の下、ネットフリックスへの売り込み作戦を展開した。この事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社は、動画広告部門フリーホイールの広告配信技術の提供やNBCユニバーサルの営業チームの活用を申し出た。

 

一方、マイクロソフトは、ネットフリックスのパートナー探しの早い段階から、交渉の席に着いていた。広告事業の規模はグーグルやコムキャストよりもはるかに小さいが、両社と異なり、マイクロソフトにはネットフリックスと競合するストリーミング事業がなかった。ネットフリックスはいずれ自社で広告販売事業を立ち上げることを踏まえ、マイクロソフト幹部は売り込みで(ネットフリックスと競合しないため)「当たり障りがない」という言葉を強調し、パートナーになる意思を明確にした。

 

 6月、ネットフリックスのパートナー候補との交渉が佳境に入る中、広告業界関係者がフランス南部のリゾート地で開催された「カンヌライオンズ」に集結した。この広告業界の祭典では、IT(情報技術)やメディア業界幹部がヨットでワインをすすりながら、大口広告主に売り込みをかけるのが通例だ。

 

 カンヌはいつも通り、映画俳優のライアン・レイノルズルピタ・ニョンゴシンガー・ソングライターのデュア・リパといったセレブリティーで溢(あふ)れかえっていたが、広告業界でスター並みの注目を集めたのはネットフリックスのサランドス氏だった。同氏はこのイベントを利用し、大口広告主や広告代理店の上級幹部と協議をした。この事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。また、広告大手WPPのマーク・リードCEOや写真・動画アプリ運営スナップのエバン・スピーゲルCEOらが参加したグーグルの夕食会にも出席した。

 

NBCユニバーサルはカンヌの祭典で、パートナー候補から降りようとしていた。受注合戦とネットフリックスの要求が、有益な提携を思い描けないレベルに達していると判断したためだ。この協議に近い複数の関係者が明らかにした。だがネットフリックスは最終的に同社を説得し、再び競争に加わらせた。グーグルは6月末までには、同社が契約を獲得できる可能性は薄れていると感じていた。この事情に詳しい関係者が明らかにした。

 

その裏では、ネットフリックスとマイクロソフトの交渉が静かに進んでいた。

 

両社は7月13日、広告事業で提携することを発表。米アイダホ州サンバレーでITとメディア業界の大物が集う毎年恒例のイベントが開催された直後のことだった。コムキャストに近い関係者によると、一部の同社幹部はネットフリックスが交渉中に同社の優秀な人材を引き抜こうとしたことを知り、プロ意識に欠けるとして憤慨した。ネットフリックスはグーグルでも引き抜きを試みた。この協議に詳しい関係者が明らかにした。

 

 ネットフリックスは広告付きプランで配信するコンテンツの権利を確保するため、ハリウッドの制作会社と広く交渉を行っていたが、コムキャストとの緊張関係はNBCユニバーサルと別に行っていた権利交渉にも波及し、NBCユニバーサルが希望契約価格を引き上げる原因になった可能性がある。前出のコムキャストに近い関係者が明らかにした。

 

 サランドス氏はネットフリックスの4-6月期(第2四半期)決算の電話会見で、同社は既に「ユーザーが視聴するコンテンツの大部分」を広告付きプランで配信する権利を確保していると述べた。

 

多くの広告主は既に、ネットフリックスを宣伝媒体としてどう利用するかを構想している。彼らが知りたがっていることの一つが、ネットフリックスの広告を通じてどれだけの人々に訴求できるのかということだ。

 

ネットフリックスは長年、広告を販売していないためコンテンツの視聴率を公表する必要はないと述べてきた。だが最近は、視聴時間トップ10リストなど、視聴関連のデータを提供し始めている。広告・メディアコンサルティング会社メディアリンクの元副会長であるウェンダ・ハリス・ミラード氏は、広告付きプランの開始後は、広告主がそうしたデータの質に基づいて出稿を検討するようになるため、ネットフリックスはさらに透明性を高める必要が出てくると話す。

 

 ネットフリックスにはストリーミング最大手という強力な切り札があるが、広告主は他のサービスでもネットフリックスの顧客の多くに訴求できるだろう。「ネットフリックスは幾分有利だろうが、それはあくまでブランド力のためであって、視聴者が差別化されているためではない」。ミラード氏はこう述べた。

 

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私見

何回”この協議に詳しい関係者が明らかにした”が出てくるねん(笑)

ネットフリックスの社員か??それならザル過ぎるやろ!

ってこの5,000文字を超える文章を読んでての感想ですが、

ネットフリックスに加入していない・・・というか動画配信サービスには

一切加入していないので良さがあまり分かってないですが、

やはり映画やドラマ好きの人にとっては魅力のある会社なんですかね?

 

今まで一切広告を出していなかったけど今後は出していく。でも

それを差別化として前面か側面かわからんけど出してたのに

急に広告動画が入るとどうなるか?が怖くて躊躇している感が

ありそうで、もう決まった「やります!」とも書かれている

ような気がするのでやるんだろうなと思いますけど、

youtubeとかのながら視聴と違って「この映画」「このドラマ」が

見たい!!って見に来てるのに何秒の動画かわからんけど

それがあるから見るのを辞めましたって人は

ゼロではないけど少ないのかなと思ってますね。

 

youtubeだと15秒のCMだと再読み込みしちゃいますからね

逆にGYAOとかで「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿

見るときに15~30秒のCMが数本あって飛ばせませんが

続きを見るには仕方がないって思って流してます。

それが無料か有料かでまた心理的なものは変わるのかもしれないけど

そんなに変わんないんじゃないかな?

ま、広告が配信される分、安くなるならユーザーメリットも

ありますしね。ただ、動画配信サービスも頭打ちに

なってきているのでネットフリックスがこのままこの事業だけで

また成長シナリオを描いていけるのか?ってなると微妙かな?

 

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