テスラの厳しい決算、景気後退リスクあぶり出す
――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
米電気自動車(EV)大手テスラはキャッシュフローを維持するために、成長し続けなければいけない。
テスラが20日発表した4-6月期(第2四半期)決算で、フリーキャッシュフローは6億2100万ドルと、1-3月期の22億ドルから大幅に減少した。中国で4〜5月に新型コロナウイルス感染拡大に伴う工場閉鎖が起きたことや、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が徐々に弱気の発言になったことから、業績悪化は広く予想されていた。最終的な数字はアナリスト予想をわずかに上回った(ファクトセットが集計したフリーキャッシュフローの予想は4億8700万ドル)。
とはいえ、この結果は、従来の自動車メーカーを苦しめるのと同じタイプの現実世界の問題にテスラがさらされており、憂慮すべき財務面の影響があることを浮き彫りにした。テスラは決して工場やサプライチェーン(供給網)の懸念から解放された、デジタルなパラレルワールドで生きられるハイテク企業ではない。同社はハードウエアの利益に「いずれは」ソフトウエアの利益が上乗せされるという決まり文句の希望的観測を繰り返したが、今はまだ圧倒的に「製造業」であり、それに伴うあらゆるリスクを負っている。
同様に、テスラのキャッシュフローに効いているレバレッジは、従来の自動車メーカーに特有のものだ。すなわち顧客に納車する際に現金を受け取り、数週間後、部品メーカーなどに支払う形でその現金を支出する。そのため、納車が急増している間は大量の現金が流入するが、それが反転すると大問題を引き起こす。2008年から20年にかけて景気が悪化するたびに自動車メーカーがパニックに陥ったのはそのためだ。マスク氏が4-6月期に人員削減に乗り出したことから、テスラも例外でない事情がうかがえる。
テスラの多くのファンは、今年下期の生産能力は向上する――「記録を塗り替える」可能性もある――とマスク氏が電話会議で語ったことを踏まえ、4-6月期決算を軽く受け流すだろう。ザック・カークホーン最高財務責任者(CFO)は、今年の生産台数を50%増やすテスラの目標の達成は以前より難しいが、「強力に実行すれば、まだ可能性はある」と述べた。
だが景気後退リスクは、一部の投資家をためらわせる可能性がある。現在の待機者リストを見る限り、EVには供給可能な台数を上回る強い需要があることが分かる。テスラは依然としてハイブリッド車を除くEVの世界最大のメーカーだ。しかしEVは価格が高く、経済状況の悪化によって冷え込むようなぜいたく品だと判明するかもしれない。わずか2カ月間の供給ショックがテスラの四半期決算のキャッシュフローを落ち込ませるなら、もっと長引く需要ショックが生じた場合(しかもドイツと米テキサス州の新工場で増産に取り組むさなかに)、もっと悲惨なことになりそうだ。
消費者のEV購買意欲がどう変化するにせよ、テスラは自動車製造に伴うリスクに直面する自動車メーカー以外の何者でもないと考えるべきだ。テスラ株の予想PER(株価収益率)は約52倍と、年初時点の120倍から低下し、以前ほど法外な水準ではなくなった。それでも極めて野心的な成長計画がほとんど失敗なく進むという壮大な賭けであることには変わりない。業界の大半のライバルの予想PERが一桁にとどまるのには訳がある。世界的なサプライチェーンに依存する高額の消費者向け製品を販売する事業に、何か不測の事態が起きて、甚大な財務的損失が発生することは珍しくない。
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~私見~
従来の自動車メーカーがこうだからテスラもそうなる。。。
なんで??って思うんだけどそんな前例踏襲しないと
本質的な価値が図れない様であればその人の
GAFAMの評価も今まで散々だったんでしょうね
手放しで最先端なものを取り扱っている、
取り扱っていそうな気がする会社に盲目的に
投資しようっていうことではないですが、
得てして今後業界をひっくり返すような企業って
従来の指標の基準には当てはまらないことも多い
それを通例では・・・とか言ってれば
大事なものを見逃すことになりませんか??
って問いたいですが、おナスはそんな個別の事情を
詳しく調べる事もしないのでナスダック100で
マルっと投資しています。
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