いちのりの資産運用日記

積立投資しながら大暴落を待ち望むオトコの投資人生

【NASDAQ100関連ニュース】マスク氏とトランプ氏、EVの落としどころ

 

 イーロン・マスク氏とドナルド・トランプ氏の友情が宣言されたが、ある不都合な真実が残されている。それは電気自動車(EV)だ。

 マスク氏はEVに夢中だが、トランプ氏はEV反対を唱えてきた。

 しかしこの数週間の間に2人の間の緊張がわずかに緩和したことが明らかになった。この変化は、マスク氏が大統領選でトランプ氏を支持する理由を理解する手掛かりになる。世界をリードするEVメーカーであるテスラの最高経営責任者(CEO)としての利害に反するように見えたとしても、彼はなぜトランプ氏を支持しているのか。

 トランプ氏の立場は要するに、政府が購入を強制しないかぎりEVを問題視しないということだ。マスク氏は政府のEV補助金が廃止されても構わないと繰り返している。

 マスク氏のトランプ氏への支持表明は、AI規制や宇宙契約などさまざまなテーマについてトランプ氏に影響を与えられることに賭けているように見える。EV開発で他社を大きく引き離しているテスラには、EV技術の定着のためにかつて必要としたような政府の支援はいらないと踏んでいるようでもある。

 「補助金を取り上げてくれ。テスラにとってはプラスでしかない」。トランプ氏に疑問を持つテスラ支持者が反発する中、マスク氏は先週、ソーシャルメディア「X」にこう投稿した。

 マスク氏は自動車産業の電動化を進めるために長年努力していたが、今はライバルがまだ渡ろうとしている「EVの未来」への架け橋を引き抜いても構わないと思っているように見える。ただリスクもある。EV側にいるのは少なくとも米国ではいまだにテスラだけで、他社の取り組みは減速しており、EVへの本格的な移行には暗雲が垂れ込めている。

 トランプ氏は自動車の電化を、大統領選に向けた遊説でジョー・バイデン大統領をたたくための「こん棒」として使い、バイデン氏が(主要な激戦州などの)製造業の雇用を犠牲にして、高価なEVを米国人に無理やり押し付けようとしていると示唆してきた。

 「こんなものは大して遠くまで行けないし、高過ぎる」。トランプ氏は昨年9月、デトロイト近郊での集会でEVについてこう話した。

 米環境保護局(EPA)はEVを義務付けようとしているわけではないとしている。だが共和党の批判派は、バイデン政権の排ガス基準の厳格化について、EVのシェアが将来の自動車販売でガソリン車を上回るよう事実上義務付けていると主張している。

 自動車メーカーは排ガス基準を満たすためもあって、製品群を新たなEVで構成することを目指し、以前は増産に積極的だった。しかしこの1年半の間にEVが政治問題化したことで販売が伸びず、メーカーの計画は台無しになった。

 テスラでさえ販売減速の影響を受けている。マスク氏が世間の注目を浴びる形でトランプ氏を支持したことが、民主党支持者を名乗る購入者がかねて多くを占めていた顧客層にどう影響するかを判断するには時期尚早だ。マスク氏が昨年末、賛否が分かれる社会的なテーマで発言し始めると同時に、テスラ車の購入者に占める民主党支持者の割合は急減した。マスク氏がしばらくの間落ち着くと、民主党支持者の購入者が戻ってきた。

 民主党支持者が多いカリフォルニア州の新車ディーラー協会がまとめた今年上半期の新車登録台数によると、テスラ車は17%減、業界全体ではほぼ横ばいだった。

 その間もここ数カ月にわたってトランプ氏とマスク氏は水面下で話し合いを続け、関係を修復した。その成果は最近になって表に出始めた。

 アリゾナ州で先月、集会に登場したときのトランプ氏の口ぶりはこれまでとは違っていた。EV政策の批判は続けたが、意外なことを言い出した。

 「私はEVの大ファンだ。私はイーロンのファンだ。イーロンが好きだ」。トランプ氏は集まった人々に向かってそう話した。「彼のことが気に入っている。多くの人はEVを買いたいと思うだろうが、違うタイプの車を買いたい場合は選択肢がなければならない。遠くまで行く必要がある人もいる」

 数日後、テスラの年次株主総会である投資家がマスク氏に尋ねた。「(トランプ氏が)テスラの大ファン、あなたの大ファンだと言って私たちは非常に驚いた。あなたは彼に何を言ったのか」

 「私は説得力があるときもある」。マスク氏がそう言うと笑いが起きた。

 

 さらにマスク氏はトランプ氏とEVについて話していることを明かし、今ではトランプ氏の多くの友人がテスラ車を所有し、トランプ氏はテスラのピックアップトラック「サイバートラック」の「熱烈なファン」だと語った。

 「(トランプ氏は)電話をかけてくるときは非常に感じがいい」とマスク氏は述べた。「私は未来にとってEVが非常にいいものだと考えているし、米国はEVで先頭に立っている・・・アメリカを買ってくれ、と言った」

 トランプ氏もマスク氏との会話に言及し、EVの限界について自身の批判をマスク氏に伝えたことを明らかにした。「彼に言った。彼は率直に私に同意していると思う。EVは遠くまで行けない」とトランプ氏は6月に話した。

 関係修復のためのやり取りがどんなものだったせよ、トランプ氏にとっては効果を発揮しているようだ。トランプ氏はマスク氏の全面的な支持を勝ち取り、マスク氏がX上で抱える2億人近いフォロワーという「メガホン」も手に入れた。マスク氏の個人資産の一部もトランプ陣営への献金という形で手に入るかもしれない。

 ではマスク氏は何を手に入れるのだろうか。バイデン大統領との関係が徐々に悪化して非難し合うようになったマスク氏にとっては、単に自分の意見に耳を傾けることをいとわない友人をホワイトハウスに持つことだろう。マスク氏の母親はバイデン氏による息子の扱いへの不満を世間にぶちまけた。バイデン氏はEVを強力に支持しながら、マスク氏が受けて当然だと言う評価を与えなかった(バイデン陣営にコメントを求めたところ、「自分のためだけに行動する傲慢〔ごうまん〕なビリオネア」を米国は望んでもいないし必要としてもいない、との回答が返ってきた)。

 マスク氏に関しては、「トランプ氏の世界」の関係者の方がよりよく理解していることもあった。例えば2020年にはトランプ氏がマスク氏について「われわれの偉大な天才の一人だ。われわれは天才を守らなければならない」と述べた。今年の共和党全国大会で称賛された党の政策綱領には、商業宇宙セクターの拡大について楽観的な文言が含まれていた。

 「イーロン・マスクはある意味で、古い世代の米国の起業家が復活したような存在だ。彼は物を作り、車を作り、ロケットを作っている。これはトランプ大統領が作りたい経済だと思う」。JD・バンス上院議員オハイオ州)は先週、トランプ氏の副大統領候補に指名されたあと、米メディア「ニュースマックス」にそう話した。バンス氏は連邦政府によるEVの税額控除を廃止する法案を提案したことがある。

 トランプ氏は18日の共和党全国大会での演説で、新政権の初日に自分が気に入らないEV政策を終わらせると語ったが、6月と同様に、EVを攻撃しながらもあることを強調した。

 「ところで私はEVに大賛成だ。EVにはそれなり使い道がある。ただガソリン車やハイブリッド車を買いたい人がいれば、買うことができるだろう」

 

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いちのりのつぶやき

トランプ氏がEVが嫌いな理由は・・・?EVにシフトしきれていないアメリカのビッグ3が古き良きアメリカな産業だから守りたいのか?ガソリン車の場合は原油から精製されるので石油業界を守りたいのか?おそらく様々な思惑が重なり合い、自分に一番有利だと思われる戦略がEV反対なのかなと思っています。まぁ、イーロンマスクもそんな思惑は当然承知の上で莫大な献金をしてるんでしょうけどどうなりますかね?最近イケイケだったハイテクグロースの風向きが少し悪いような気がします。円相場も直近最高値?からは7~8円の円高になっていますがこのまま円高に戻っていくんでしょうか?それとも月末の日銀の会合で利上げがなければ円安に振れるのか??さてどうなりますやら。。。

 

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