――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
27日に発表されたアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の臨床試験(治験)結果は、同様の治療薬「アデュヘルム」の商業化に失敗し、投資家に愛想を尽かされた米バイオ医薬品大手バイオジェンに変革をもたらすだけにとどまらないだろう。
見限る動きまで出ていた抗アミロイド薬というジャンルにも新たな活気をもたらしている。投資家は、米製薬大手イーライリリーやスイス製薬大手ロシュ・ホールディングの治療薬候補も治験で好結果が出るとの自信を強めている。
バイオジェンの治験結果を受け、28日の米株式市場では同社株が約40%高で取引を終えた。イーライリリー株は7.5%高、ロシュの米国預託証券(ADR)は約7%高で引け、バイオジェンとエーザイが共同開発したレカネマブが競争に直面する可能性を映した。
投資家心理の好転はまさに大規模なものだ。近年はアミロイドを標的とした薬剤の治験が失敗に終わるケースが相次ぎ、患者の脳内に異常に蓄積したタンパク質を標的にすれば認知症の進行を遅らせることができるという「アミロイド仮説」を疑問視する声が高まっていた。
だが、27日に発表された治験結果は疑いようがなかった。レカネマブは認知機能低下を抑える効果がプラセボ(偽薬)よりも27%高かった。今回の治験結果は査読付き医学雑誌にはまだ発表されていない。治験は主要評価項目(プライマリーエンドポイント)および副次的評価項目(セカンダリーエンドポイント)を全て達成し、アナリストの多くはこれを最良のシナリオと評した。
重要なのは、レカネマブは脳内浮腫など安全性の懸念が認められたものの、現在治験中の他の治療薬候補よりも安全そうに見えたことだと、ジェフリーズのマイケル・イー氏は述べた。ロシュの「ガンテネルマブ」とイーライリリーの「ドナネマブ」の後期臨床試験の結果は来年末までに発表される見通しで、投資家はどちらについても成功確率を評価し直している。グッゲンハイム証券のシーマス・フェルナンデス氏は、イーライリリーの投資家は現在、ピーク時の年間売上高が80億〜100億ドルとなる成功確率を30〜40%から70〜75%近くに引き上げるのが妥当との見方を示した。同氏は28日の米株式市場の取引開始前に、イーライリリーの株価が5〜7%上昇してもおかしくはないと述べた。
治験の好結果を受け、米食品医薬品局(FDA)は2023年1月にレカネマブを迅速承認し、同年中に正式承認する可能性が高い。投資家や患者、社会にとってより大きな問題は、米厚生省傘下メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)の今後の対応だ。アデュヘルムはFDAの承認を得たものの、症状に有意な改善が見られないとしてCMSが保険適用を制限したことから、事実上、商業的な見通しが立たなくなった。
ベアードのブライアン・スコーニー氏は、今回は違うだろうとし、CMSは治験での非常に良好な結果を受け、「断固として保険適用を拒否する」可能性は低いと述べた。初期のアルツハイマー病を患う米国人は約200万人いるため、CMSのコストが膨らみ、高齢者の医療コスト増につながる可能性がある。CMSは27日、特にアデュヘルム関連の支出が想定を下回ったとして、保険料と控除免責金額を来年引き下げると発表したばかりだ。政府は今後、アデュヘルムに代わる高額なアルツハイマー病治療薬のコストをいつの間にか負担しているかもしれない。
価格がどれだけ高くなるかも重要な問題だ。バイオジェンは、アデュヘルムの当初価格を年間5万6000ドルに設定して反発を招くという痛い思いをして学んだ可能性が高いため、レカネマブの価格を2万ドル近くに設定することが予想される。
それでも、そのコスト(投資家にとっては見返り)は桁外れの規模になりそうだ。
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~私見~
アルツハイマーは今のところ有効な治療薬はないと聞いているが
あと数年もしたら誕生するのだろうか??
ガンは早期発見出来たら治る病気になりつつあるし、
アルツハイマーもその内・・・という期待はあるが
その時になればまた違った難病が人類に襲い掛かっている
のかもしれないですね。ただ、昔は死の病と言われた
数々の病気も治療が出来るようになっているので、やはり
遅かれ早かれ治療方法は見つかるのかも
おナスが持っているいまや「ボロ株」に成り下がっている
ですが、この中から将来ものすごい薬などを発明する
企業が出てきたりするんでしょうかね??
仮にそういうのが出てきた場合はすぐにこのETFの
構成銘柄から別の構成銘柄群に入れられそうなので
あまり恩恵は受けないのかもしれませんけどね。。。
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