「リモートはもう十分」米企業は出社へ本格始動
米国では多くの企業幹部が、夏休みが終わったレーバーデー(9月の第1月曜日)後がオフィス復帰を促すのに最適な時機と考えている。
これまでランチをふるまうなどしてオフィス復帰を促してきたが、一段と強硬な姿勢を強めている。社員はこの秋から出社が求められ、拒否すれば通告を受けるという。
アップルやプルデンシャル・ファイナンシャル、BMOファイナンシャルグループといった企業は9月から、米国内のオフィスで出社要請を広げる計画だ。アライ・ファイナンシャルのような一部企業はここ数週間、社員にオフィス復帰を繰り返し促している。ゴールドマン・サックス・グループはレーバーデー以降、ワクチン接種などの義務付けを全て撤廃するとし、オフィス完全復帰への最後の障害を取り除いた。
また、マリオット・インターナショナルなどのように、社員が使うことを期待、もしくは予想して新たなオフィススペースを開設している企業もある。
新学期が始まり、秋冬のホリデーシーズンを迎える前のレーバーデー後に社員をオフィスに復帰させるのが最善のシナリオだと多くの企業幹部は口をそろえる。一方の社員は、新型コロナウイルスの感染者数や入院件数が減り、死亡率も低下していることから、コロナのリスクと共に生活することにますます慣れ、以前ほど出社に抵抗はないと話す。景気が弱含む兆しが現れる中、企業側も要求を強めやすいと感じている。
「多くの企業が(この秋から)『境界線を引く』と言っている」。職場に必要なテクノロジーを提供するワークヒューマンのスティーブ・ペンバートン最高人事責任者はこう話す。同社では今月から、ボストン地区の社員に週1回の出社を求めている(一部はリモート勤務も継続可能)。
失業率が3.7%という環境での採用はなお困難だと企業は言う。それでも、スナップやフォード・モーター、ネットフリックスなど複数の有名企業が最近、人員削減計画を発表しているのを見て、社員はオフィス復帰命令を前向きに受け入れる可能性はある。
企業側はリセッション(景気後退)懸念や人員削減を武器に優位に立てる一方、出社しなければ解雇すると社員に伝えることをためらう向きもある。あくまでもそれは最後の手段だ。
対面での仕事を要請する裏付けとして新たなデータで武装する経営者もいる。IDバッジでの出社確認と別の基準を関連付けて、定期的に出社する社員のほうが他の社員に比べて生産性と仕事への関与が高いことを証明しようとする企業もあると、クラウドソフトウエア企業クアルトリクスのジグ・セラフィン最高経営責任者(CEO)は語る
多くの社員がリモートワークの柔軟性を高く評価し、少なくともハイブリッド勤務の継続を希望していることが、オフィス復帰の取り組みを複雑なものにしている。複数の聞き取りや調査で明らかになった。企業側は、協業の促進や企業文化の活性化、若い社員の同僚との交流といった出社のプラス面に目を向けていることが多い。
一部の企業はバランスをとることで成功を収めている。音楽配信サービス大手スポティファイもその一つだ。コロナ下で約8600人の同社社員は主にリモートで働いたが、この数カ月は予想よりも多くの社員がオフィスに戻っているという。カタリーナ・バーグ最高人事責任者はその一因として、オフィス復帰を強要しなかったことを挙げた。同社が社員に働き方について選択肢を与えた後、勤務時間の大半をオフィスで働くことを約6割が選んだ。一方、約4割は引き続き主に在宅で働くことを選択した
「心理学がうまく働いている。誰も私に出社する必要があるとは言わない。私に選択は任されている。人としてこれは非常に重要なことだと考える」とバーグ氏は語った
「大人を採用して子どものように扱えば反発される」
アップルは当初、段階的なアプローチをとり、カリフォルニア州にある本社のオフィス復帰は4月から週2回、5月末までに週3回とした。だがその後、同社は週3回とするのを9月まで先送りした。
マーケティングテクノロジー企業Postal.ioのエリク・コステルニクCEOは8月半ば、カリフォルニア州にある本社社員の出社回数を週3回とした。社員120人の約半数が通勤圏内に居住しているが、出社日は火曜日から木曜日の3日間と決まっている。
「オフィスで皆が働く勤務時間帯を決めなければ、ルーズ過ぎるようになる」とコステルニク氏は言う。 「生産性の問題でも、賃金相応の働きという問題でもない。オフィスは資源だ」
コステルニク氏によると、社員からの反発はなく、出社日のオフィス稼働率は約8割。出社する社員が減り始めても、このルールを強要するつもりはないという。
スラック・テクノロジーズとボストン・コンサルティング・グループ、ミラーノルが出資するコンソーシアム「フューチャー・フォーラム」の幹部ブライアン・エリオット氏は、出社の理由が上司の前に姿を見せることだというのは「好ましくない」と話す。同僚と協力し、関係を築くことが理想的な出社の動機であるべきだと同氏は指摘する
また、完全に対面で、もしくは大半を対面で働く社員の4割が、そうすることで自身のキャリアに役立っていると考えていることも調査で明らかになった。
ニューヨーク市の広告代理店で働くユエン・イー・シーさん(29)はレーバーデー以降、週2〜3回の出社が期待されていると話す。求められている以上に出社するつもりはないという。「個人的には2〜3回が程よいバランス。リモートでも同様にうまく仕事ができるから」
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~私見~
働き方がある程度自由っぽいアメリカでも
在宅と出社なら出社が好ましいという思う会社が
多いってのは意外な気がする。
もちろん現場で成果を挙げないといけない職種の場合は
出社しなければならないのは分かるが
基本パソコンさえあれば完結できそうな職種なら
別に在宅でも構わないと思うのは少数意見?
おナスの会社も現在は在宅率50%が目標として
定められているが来週末にフロアが大幅に変更し
フリーアドレスおよび席が減るっていう感じになります。
なんかイス取りゲームみたいで遅く出社したら
席がないのかもしれない。。。ま、別のフロアに
フリーのスペースがあるから最悪そこで仕事すれば
いいんだけどうちの会社はコロナが収まったとしても
出社率が上がることはなさそうだ。
ただ、通勤しているとやはり以前と比べて
人は多いですよね。お昼休みに近くの本屋まで
立ち読みに行く際に通る通路もやはり多くなってるし
途中にある飲食店も並んでいる人が増えた。
コロナがきっかけとなって在宅勤務という働き方が
出てきたけどまだ浸透するのは時間が
かかるのかもしれないですね
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