米企業の投資意欲なお旺盛、グーグルは長期視点
米大手企業は依然、設備投資を拡大し続けている。経済見通しが不透明な中で、投資家にとっては心強い兆候と言えそうだ。
グーグルを傘下に抱えるアルファベット、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)、飲料・食品大手ペプシコといった企業は、成長押し上げに向けて、不動産、設備、技術といった大型支出を増やしている。幹部らによると、投資は主に成長事業の拡大を狙ったものだが、厳しいビジネス環境の中で在庫管理の最適化といった目的で行われるものもある。
S&P500種指数構成銘柄による設備投資は、2021年1-3月期(第1四半期)以降初めて、自社株買いのペースを上回った。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが4-6月期(第2四半期)決算のデータを分析した。指数構成企業の約3分の2の決算結果に基づくと、設備投資は前年比20%増の1498億ドル(約19兆9600億円)で、伸びは1-3月期とほぼ変わらずとなった。これに対し、自社株買いは10%増の1608億ドル、配当は14%増の1406億ドルだった。
企業が投資を拡大していることは、インフレ高進や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを巡る懸念で地合いが悪化している株式市場にとっては追い風となる。S&P500種は年初来13%値下がりしているが、6月半ばにつけた安値からは13%戻している。
投資調査会社ベリティデータの分析責任者、ベン・シルバーマン氏は「株式市場が崖から完全に転落していない背景には、設備投資が伸びていることがある」と話す。「経営陣からは、手元に現金を積み上げるのではなく、投資に回すことに不安を感じていないことがうかがわれる」
ただ、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が今週公表したセルサイドのストラテジストを対象とする調査によると、市場のセンチメントは7月、およそ5年ぶりの低水準に沈んだ。しかし、同行のアナリストは、極めて弱気のセンチメントは相場反発に向けた逆張り的なシグナルであることが多いと指摘している。バンカメでは、情報技術(IT)、通信サービス、工業などのセクターが、設備投資の伸びを最も押し上げていると分析している。
例えば、アルファベットは先週公表した決算で、4-6月期の設備投資が前年同期の55億ドルから68億ドルに増えたと明らかにしている。特にサーバーなど、ITインフラへの投資を強化しているという。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は決算を受けた電話会見で「世界経済の先行きが見通せない中で、長期的にプロダクトを支援するディープテクノロジーやコンピューター科学に投資する当社の戦略は正しい」と述べている。
GMの設備投資も前年同期の15億ドルから21億ドルに増えた。ポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は決算会見で、電気自動車(EV)拡充の取り組みを強調。「ここ数年にこれらのクルマに行ってきた投資は(中略)当社が目指す全面電動化の未来に向けた強力な橋渡しとなる」と述べている。
ペプシコのヒュー・ジョンストンCFOは、店舗が適切な在庫を常に確保することを目指し、デジタル投資を進めていると指摘する。6月半ばまでの24週間の設備投資額は15億ドルと、前年同期の13億ドルを上回った。
「設備投資が引き続き非常に力強く伸びており、その意欲も旺盛であることが決算で示されれば、これは事業の先行きをかなり楽観している証拠だ」。クロスマーク・グローバル・インベストメンツの首席市場ストラテジスト、ビクトリア・フェルナンデス氏はこう指摘する。設備投資の伸びは、新型コロナウイルス禍で現金を積み上げていた企業が投資を再開するという典型的な行動パターンを反映している面もある。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、S&P500種構成企業が1-3月期末時点で保有する現金・現金等価物は1兆6670億ドルと、2021年末の1兆7970億ドルから減っている。データには通常、現金を厚めに保有する金融、不動産、公益、輸送セクターの企業は含まれない。
物流の遅延や半導体など重要製品の不足といったサプライチェーン(供給網)絡みの問題が長引いていることで、米国に生産拠点を戻そうと設備投資を増やしている企業もある。バンカメによると、今年に入って行われた決算電話会見で「リショアリング(生産拠点の本国回帰)」への言及は急増している。
BNYメロン・ウェルス・マネジメント・グローバル・ファミリー・オフィスの投資責任者、ラジェシュ・ナカディ氏はこうした流れについて「米国で生産する魅力的な機会が存在するという現実を反映した長期的なテーマになるだろう」と話す。
半面、リセッション(景気後退)を視野に、支出を絞る企業もある。半導体大手インテルは先週、今年の設備投資見通しを引き下げた。同社の4-6月期決算はパソコン(PC)販売の減速などを背景に、予想外の赤字転落となったほか、およそ10年ぶりの大幅減収となった。投資家やアナリストによると、人手不足も自動化技術への投資を促している。
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~私見~
現金をため込むしか能のない(コホン)日本企業と違って
アメリカの企業はカネを抑えるときは抑えて
使う時は使うというメリハリが効いてますね。
おナスの会社もなんか最近はやたらと経費削減を謳われ
投資を抑えるっていう動きになっているようです。
それで抑えた費用を成長分野に投資して更なる
利益の増大に持っていければいいんでしょうけどけっこう
いままで分野外の提携や買収はことごとく失敗してるから
商売が下手なのかもしれませんね。。。
アメリカも生産拠点の本国回帰であるリショアリングを
進めているそうですが日本も今後そういう風に
していかないとダメなんじゃないのかな?って
思ったりしています。人口が減っている日本でそれを
やれるのか?っていう事もありますが、そこは
徹底的に設備投資して生産性を上げる事で
解決していけたらと思ってますし、なんかもう
自動車メーカーや家電メーカーみたいなところは
下請け工場をマルっと抱え込んでしまえばいいのに
って思ったりもしますね
ま、素人考えなので難しいのでしょうけど
大手と無数の中小企業が結びついていることが
生産性を低くしているように見えててそれを
一度本気で再編成するようにしなければ
ダメなんじゃないかな。。。なんて
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