いちのりの資産運用日記

積立投資しながら大暴落を待ち望むオトコの投資人生

ナスダック100関連ニュース【最近アマゾンで買わなくなったなぁ】

アマゾン商品検索、紛らわしい結果が増えた理由

 

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト


 世界のへき地を訪れて夜空を見上げたり、山の頂上に立ってその広大さを考えたりすると、自分がいかに小さい存在であるかを思い知らされる。アマゾンの通販サイトで一番いいニンニクつぶし器を探そうとするときもそうだ。

 確かに、夜空には300を超える星があり、アマゾンの米国サイトにも同様の数のニンニクつぶし器が掲載されている。しかし、出品商品のページを次々に移動し、何万件ものレビューが付いた商品の中からベストなニンニクつぶし器を見つけ出すのは、アマゾンの多くの検索と同様、ますますいら立たしく、落胆と困惑を伴う作業になりつつある。

 イライラする理由は、アマゾンの偽レビューとの果てしない闘いを踏まえると、最も評価の高い商品が実際にそれほど優れた商品なのか判断できないことにある。落胆する理由は、心理学者が以前から指摘しているように、人は選択肢が多いほど、むしろ最終的に選んだものに満足感を得にくいことにある。

 そして困惑するのは、次のような理由だ。ちょっと待て。今さっき同じニンニクつぶし器を別の出品ページで見なかったか? 横に付いているロゴ以外、ほぼ同じに見えるのはなぜだ? しかも、こっちの方が安い。ということは、こっちは品質の劣る模造品で、自家製パスタソース用のニンニクをつぶすのに2〜3日使用したら、壊れる可能性があるってことか? それとも、別の仲介業者が価格を下げて販売している同じ製品ということなのか?

 この瞬間にわれわれが経験するいら立ちと、「アマゾンで台所用品の出品商品を比較することに、自分の人生の時間を無駄にしていいのか」という自らの存在意義を巡る不安――。アマゾンが同社のマーケットプレイスの出品業者にさまざまな販売奨励措置を提供した当然の結果が、これだ。過去2〜3年は、世界の消費財のほとんどが生産されている場所に近い中国に拠点を置く出品業者が一段と増えていた。

 しかし最近、アマゾンの出品業者上位1万社の比率が、米国に拠点を置く企業に再び傾きつつある。その理由は、アマゾンのマーケットプレイスがいかに奇妙な場所と化しているかや、数百万の企業や消費者に与えるその波及効果を示す一つの事例になっている。

 このことは重要だ。なぜなら、アマゾンは規模と到達範囲が巨大であり、同社がアルゴリズムにちょっと手を加えただけで、アマゾン以外の小売りの世界にも甚大な影響が及ぶからだ。アマゾンは売上高で世界第2位の小売企業であり、有料制の「アマゾンプライム」の会員は1億7200万人と米国の人口の半数以上に上る(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズの推計)。

ニンニクつぶし器の多元宇宙を構築

 作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの作品に「バベルの図書館」という短編小説がある。そこに登場する図書館には、これまでに書かれた特定の長さの本が全て収蔵されている。アマゾンで一般的な日用品を検索するのは、おおむねバベルの図書館で本を探すような感じだ。iPhone(アイフォーン)の充電ケーブル(出品件数約1000件)であろうと、女の子用のソックス(約300点)であろうとだ。

 では、いかにして現状に至ったのか。

 2000年に開設されたアマゾンのマーケットプレイスは、最初の15年ほどは主に製造業者や仲介業者、実店舗の特売品の再販者、そしてアマゾン自体が、自分が知っている、または信頼しているブランドの商品を消費者に競って販売する手段となっていた。アマゾンは、そうすることで在庫コストを増やすことなく、品ぞろえを拡大できた。実際、同社は外部の出品業者に手数料を課すことで、在庫を全く新たなビジネスへと変貌させた。

 出品業者間の競争は概して値下げを促し、消費者にとって良い結果をもたらしていた。

 一方で、プラットフォーム上の品質管理も難しくなり、2010年代半ば以降は難しさが増す一方だった。その原因は、アマゾンが中国の製造業者や販売業者を同社サービスに積極的に勧誘し始め、一段と安い価格の出品商品が増えたことにあった。調査会社マーケットプレースパルスのデータによると、2016年から2020年末にかけて、アマゾンの出品業者上位1万社の中で中国に拠点を置く企業の割合は、5分の1から約2分の1に上昇した(出品業者はフィードバックによってランク付けされており、ランキングはアマゾン上の売り上げを大きく左右する)。

 

こうした出品業者は、アマゾンのアルゴリズムに関して優位な立場にあった。ノーブランドの商品を販売していたためだ。誰にでも分かる有名ブランドの商品を販売する場合、最安値の販売を競い合うことで、いつも顧客が購入ボタンを押すデフォルトの出品業者になれる。しかし、ノーブランド品の出品業者はアマゾン全体の出品商品の中でランキングを競えば良かった。皮肉にもアマゾンはノーブランド品を自社ブランドとして扱ったため、ノーブランド品の出品業者はそれらの「ユニークな」商品のデフォルトの販売業者になることが常に保証されていた。事実上、別の誰かが販売している商品と同じものであったとしてもだ。

 アマゾンのレビューや星評価システム、商品に付けられる「Amazon’s Choice」(アマゾンのお薦め品)などのタグは、たとえ聞いたこともないようなブランドやノーブランドの商品であっても、高品質、または少なくとも十分な品質であることを米消費者に改めて保証するものだった。

 中国の貿易や偽造品、消費者保護基準に対する自由奔放なアプローチのため、同国に拠点を置くアマゾンの出品業者は品質と顧客サービスに問題があるという評判が立ち、アマゾンはその根絶を絶えず試みているようだ。もちろん米国の一部の出品業者にも同様の問題はある。また、消費者向け電子機器メーカーのアンカーなど、中国に拠点を置くブランドで優れた品質やサービスに定評のあるものもアマゾンでは扱っている。

 アマゾンの広報担当者は、同社では今年、「偽造品犯罪対策チーム」を通じて訴訟を提起したり、刑事捜査を依頼したりする件数を大幅に増やしていると述べた。

 アマゾンが、マーケットプレイスを中国の販売業者に開放したことで引き受けることになったそうした問題は、近年一段と顕著になっていた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の筆者の同僚記者は2019年、アマゾンのサイトが禁止された商品や安全でない商品、不正表示された商品を何千点も販売しており、その大半が中国に拠点を置く出品業者の扱う商品だったことを突き止めた。また、アマゾンの出品業者は同社のアルゴリズムを欺き、検索結果でできる限り自社商品が上位に表示されるようにしたり、中国でアマゾンの従業員を買収し、商品のランクを押し上げたりしていることも明らかになった。

 こうしたマーケットプレイスの変化を通じ、アマゾンは禁じ手やひきょうな手口を用いる出品業者とのある種永遠のいたちごっこから逃れられないことが、明白になった。アマゾンに出品する企業にコンサルティングを提供しているアベニューセブンメディアのジェーソン・ボイス最高経営責任者(CEO)はこう指摘する。

 アマゾンの広報担当者は、昨年は偽造品販売や詐欺などの対策に9億ドル以上の資金と1万2000人のスタッフを投じたと述べている。また、同社が昨年阻止した新規に出品業者のアカウントを作成しようとする不正な試みは250万件超と、前年の600万件超から減少したという。

 そうしたいたちごっこの最新の事例が、アマゾンの2021年9月の発表だ。同社は、偽のレビューや報酬を支払って書かせたレビューを投稿するなどの違反行為をしたとして、中国に拠点を置く600のブランドをサイトから排除したと明らかにした。こうしたブランドは3000の出品業者アカウントを使用して販売されていた。

 それは実際のところ、全体の一部にすぎない。マーケットプレースパルスの創業者、ユオザス・カジウケナス氏によると、品質が劣悪な商品の販売や禁止された「ブラックハット」戦術を用いた商品ランキングの押し上げなどの違反行為をしたとして、アマゾンは絶えず出品業者を締め出している。2021年春から夏にかけてアマゾンから排除されたアカウント数が5万を超えた(深セン市越境電子商務協会調べ)理由は、これで説明がつきそうだ。

 アマゾンの米国サイトに出品する業者の比率が再び米企業に傾いているのは、そうしたアカウントの削除を2021年初旬に開始したことが大きな理由の一つである可能性はある。

 そのほか、新型コロナウイルスの流行を阻止するためのロックダウン(都市封鎖)措置や海運運賃の急騰で、中国に拠点を置く出品業者が米国内のアマゾンの倉庫に商品を輸送するのが難しくなっていることも要因かもしれない。また、薄利の出品業者にとっては、アマゾンで商売をするコストが上昇し、それを吸収するのが難しくなっている可能性もある。マーケットプレースパルスによると、アマゾンの広告料率は2020年6月から21年6月にかけて50%上昇した。

 

アマゾン上のブランドの多くは、なぜ単なるでたらめの文字列なのか

 中国に拠点を置く出品業者は、対抗策として独自のブランドを作ろうとしている。アマゾン上でブランドになれば、単なるノーブランド品の出品業者にはアクセスできないデータやツールを利用できるようになる。この流れはアマゾンの品ぞろえ、ひいては世界全体に奇妙な影響を与えている。

 米特許商標庁(USPTO)には現在、商標の新規登録申請が殺到している。そして、その一因はコロナ禍による電子商取引の台頭にある。米ネット通販市場でのアマゾンの支配力や、アマゾン上でブランドになるには米国の商標登録が必要であることを踏まえると、申請件数の急増は中国を拠点とする出品業者が直接的な原因である可能性が高い。カジウケナス氏はこう指摘する。

 中国を拠点とする出品業者は、ブランド名に意味のない文字列を好む傾向がある。その方が、識別可能な商標として承認を得やすいためだ。「私のお気に入りは、名称に母音がないものだ」とボイス氏は話す(例えば、Shenzhen Songyu Industrial Co.は「QNTRY」という商標を米国で登録し、アマゾンの認可を受けたiPhone用充電器ブランドの名称に使用している)。

 3つ目の影響は、アマゾンのアルゴリズムに対するものだ。同社のアルゴリズムは、個々の商品について顧客に最安値を表示するよう設計されているが、同じ商品が単にブランド名を変えて別の企業によって販売されていても見分けることができない。そのため、アマゾンの米国のサイトで「ニンニクつぶし器」と検索すると、検索結果の最初の5ページだけでも、1.50〜10ドルの値段が付いた27点の全く同じに見える商品が表示される。

 「このシステム全体が、アマゾンにとって巨大な問題を生み出している。なぜなら、消費者はもはや何を検索しても、基本的に全て同じ商品が表示されるため、最良の商品を選ぶことができない」とカジウケナス氏は話す。

 アマゾンは米消費者に商品を届けることを容易にしたが、アマゾン上でのブランド構築や宣伝、出品商品の管理には、中国に拠点を置くアマゾン出品業者の多くにとって手に余るほどの資金とスタッフを必要とする。米国を拠点に越境貿易に特化した中国のスタートアップ企業に投資するベンチャーキャピタリストのルイ・マー氏はこう話す。

 その結果、中国に拠点を置く小規模なアマゾン出品業者の多くが、アマゾン出品業者の中国の「アグリゲーター」に身売りしている。アグリゲーターは小規模企業を買収してまとめ、ブランドの品質とアマゾンのランキングを向上させることで利益を上げることを目指す企業だ。中には、数カ月前であれば得られたであろう平均売却額のわずか半額で身売りすることもいとわない企業もある。

アマゾンのやり方に従うしかない現実

 中国に拠点を置くアマゾンの上位出品業者に影響を与えているこうした全ての要因を考慮すると、アマゾンによるプラットフォームを整備する新たな取り組みが、中国の出品業者の減少にどの程度影響しているのかは不明だ。アマゾンの広報担当者は、悪質な出品業者を締め出す取り組みは、特定の国を標的にしたものではないと述べている。

 また、この流れは反転する可能性もあるとボイス氏は話す。アマゾンとその出品業者が再びいたちごっこを始めれば、新しく作られたブランドがアマゾンのアルゴリズムを欺く新たな手口を思い付くのは、時間の問題かもしれない。あるいは、単純にブランド認知を高めて欧米の消費者を納得させ、自分たちの商品を欲しがるように仕向けられる可能性もある。それをやってのけたのが、アンカーだ。同社はもっぱらアマゾンでビジネスを構築し、2021年はマーケットプレイスで10億ドル以上の商品を売り上げた。

 中国に拠点を置く企業が欧米の消費者に到達したければ、アマゾンを使わざるを得ない。それが純然たる事実だとマー氏は指摘する。

 大局的に見た場合、アマゾンは拡大を続けるマーケットプレイスを通じて顧客にいかにして価値をもたらすかについて、根本的に見直す必要があるかもしれない。創業者のジェフ・ベゾス氏は顧客第一主義の提唱で知られるが、選択肢が多過ぎるのは、そうした主義に反しているように見える。その多くがわれわれをだまそうとしている匿名ブランドのように感じられるとなれば、なおさらだ。多少の価格競争は好ましいことだ。しかし、結局のところ、われわれは300点に及ぶ数のニンニクつぶし器から一つの商品を選ぶ必要はないし、それを望んでもいない。

 

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私見

最近アマゾンで買い物しなくなったなぁと思うけど

それって上記の事が当てはまるからかな?と

思ったけどそうでもなさそうな感じもする。

 

基本的には本が購入商品の大半を占め

しかも新品ではなく中古が多いんだけど

アマゾンで送料込みで買うよりもメルカリで

もっと安く売ってる事もあるので

もっぱらメルカリになってしまう。

 

アマゾンで売っている商品がサクラレビューであったり

全然よくない中国製であることはちょくちょく

聞くのでやはりアマゾンで本以外を

買う事がさらに減っている。

 

アマゾンがこれからも成長していく為には

やはり小売という今までの商売は捨てて

違う分野での成長を進めた方が賢いのかも

しれないですね。小売りを捨てたら

売上は劇的に下がるだろうけど利益率は

高くなりそう。株主としては

どっちがいいんだろうね??

 

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