空室多いウォール街のオフィス、住宅転用の動き
ニューヨークにあるデベロッパー2社の合弁企業が金融街のオフィスビルを取得し、空室が3分の1を占めるこの物件を集合住宅に転用する計画だ。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)をきっかけに始まったこうしたコンバージョン案件の中で、今回のプロジェクトは最大級のもの。
米シルバースタイン・プロパティーズとメトロロフト・マネジメントによるこの合弁企業は、このビルを1億8000万ドル(約245億2000万円)で取得することで合意した。1967年に開業した30階建てのこのビルには、数十年の間、多くのハイテク関連や金融サービス企業がテナントとして入っていた。新たなオーナーは3〜4年以内に、このビルを571戸(ワンルーム〜3ベッドルーム)の市場価格のアパートメントに改築する計画だ。
メトロロフトの創業者でマネジングプリンシパルのネイサン・バーマン氏は「これは、営業状態が不振で採算が取れず、老朽化しつつある古いオフィス資産の適切な進化だ」と述べた。
今回の取引の背景には、パンデミック下でリモートワークの傾向が一般的になったことで、全米のオフィス市場で空室が急増している状況がある。リモートと出勤のハイブリッド勤務体制を導入している企業は、リースするオフィスの面積を減らし、最新のデザインで立地が良く、豊富なアメニティを備えた新しいビルに移転している。
全米賃貸物件検索サイト「レントカフェ」のリポートによると、オフィスビルの「コンバージョン」によって、2020年と2021年に全米で1万3000戸以上の集合住宅が創出された。バージニア州アーリントン・ワシントンDC・シカゴなどの都市が中心だった。
多くの都市では、オフィス街に活気を取り戻し、住宅不足を緩和するために、地元選出議員やビルの所有者が、老朽化した商業ビルを住居スペースに転用する可能性を検討している。
だが、こうしたコンバージョン案件には、財政的、政治的、構造的な問題がつきものだ。まず、多くのオフィスビル、特に過去50年間に建てられたビルは、床面積が広く、居住空間としてはうまく機能しない傾向がある。また、多くの都市ではゾーニング(用途地域)規制があり、窓や庭など住居として必要な要素を設置することが求められるため、費用がかさむ。
商業不動産の追跡調査を行っているムーディーズのアナリスト、ジェフリー・ハフシー氏は、コンバージョン物件の増加が住宅建築と商業物件の利用に少なからず影響をもたらすには、オフィス賃料が現在よりも25〜50%安くなる必要があるとみている。オフィスから住宅へのコンバージョンは、「(A)国内の住宅不足を解決するものにも、(B)都市を大きく変えるような劇的なトレンドにもならないだろう」と指摘している。
「ブロードストリート55番地」のビルを購入するデベロッパーは、このビルの設計がコンバージョンを予算的に可能にするものだとの感触を持っている。バーマン氏によると、必要に応じて、中庭を作ったり、内部空間に採光を確保するライトシャフトを設けたりといった「業界の秘策」を駆使することができるのだ。
「克服できない障害はほとんどない」と彼は話す。
バーマン氏は、「ブロードストリート55番地」のコンバージョンにかかる費用が、この土地に集合住宅を新築する場合よりも3分の1安くなると見積もっている。また、コンバージョンは新築よりも環境に優しい。既存構造物の一部である鉄骨などの資材を再利用できるからだ。
ただ、「ブロードストリート55番地」のようなプロジェクトはどこででもできるわけではない。1977年より前に建設されたダウンタウンの建物は、市内他地域の物件に比べてニューヨークのゾーニング条例による規制要件が緩い。
「老朽化したオフィスビルなら何でも、集合住宅への転用が可能だと誤解されている」と、ワールドトレードセンター(WTC)の主要デベロッパーとして知られるシルバースタイン・プロパティーズのマーティ・バーガー最高経営責任者(CEO)氏は言う。「しかし、すべてのビルが同じように転用できるわけではない」
最近は、ニューヨーク市および州の政策立案者は、ニューヨーク全域で住宅への転用を容易にするための法改正を検討している。キャシー・ホークル州知事は今年、ゾーニングの変更を提案したが、議会では承認されなかった。
市および州の当局者は、この問題の検討を続けている。ストルック&ストルック&レイバンの不動産弁護士、アシュリー・ダウカス氏は「ニューヨーク市は住宅危機にあり、手頃な価格の住宅を緊急に必要としているので、市および州は住宅転用を可能にするためにあらゆる選択肢を視野に入れているだろう」と語った。
シルバースタインとメトロロフトによる合弁企業は、ルディン・マネジメントから「ブロードストリート55番地」の物件を購入した。今回の取引では投資銀行イーストディル・セキュアードがルディンへのアドバイザリー業務を担当した。
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~私見~
日本でも同様な動きがあるのかな?
さすがに丸の内にあるテナントビルをマンションには
しないんかな?とは思いますが、
最初から住宅として建ててる物件ならあるだろう
コロナのせいでオフィス需要が減ってしまい
REITでもオフィスビル主体のものは
値がどうなってるんでしょうか?
全然確認していないので分かりませんが
物流倉庫なんかも立て過ぎてしまうと
供給過多になってしまうので何事も
ほどほどがいいんでしょうね
ただ、みんな自分だけは・・・って思って
控えるようなことはしないでしょうけど(;'∀')
そういや東京オリンピックの
選手村のマンションって全部売れたんですかね?
なんか駅が遠いし小さいから不便って
言ってたかと思いますけどおっきくなるんかな?
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