アップルが金融に本腰、「後払い」の勝算は
米アップルは3年前、金融大手ゴールドマン・サックスと提携し、モバイル決済「アップルペイ」とクレジットカードの導入を通じて、用心深く金融サービスに参入した。ここにきて金融に本腰を入れる構えだ。
アップルは年内に後払いサービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」を米国で開始する。ユーザーはアップルペイを使って2週間おきの4回払いが可能になる。アップルはローンを引き受け、自ら資金を提供することになり、借り手が返済できなければ損失を吸収する必要が生じる。新たな決済サービス「アップルペイ・レイター」の提供に向けて、子会社が大半の州で貸し出し認可を取得した。
テクノロジー大手はかねて、顧客との関係深化の手だてとして金融サービスに注目してきた。だが、与信管理や金融商品に絡む複雑な規制への対応は、銀行やフィンテック企業に任せることが多かった。
アップルが今回、異なるアプローチで臨む背景には、大きな損失を負うことなく、融資判断の是非など与信管理を行うためのデータと技術を十分に備えているとの自信を深めたことがある。内情に詳しい関係筋が明らかにした。アップルも銀行と同様、申請者の経済的な健全性を見極める上で、フェア・アイザック(FICO)が提供する信用スコア「FICOスコア」や信用リポートを利用する。ただ、身元確認や不正防止にあたり、膨大なアップルIDのデータも合わせて活用する考えだという。
数年前は自ら貸し手になることに全く意欲を示していなかったアップルにとって、これは大きな変化だ。内情に詳しい関係筋によると、ティム・クック最高経営責任者(CEO)を含め、社内ではこれまで会社の評判を落としかねないとの懸念がくすぶっていた。数年前のクレジットカードの立ち上げに当たっても、申請者の承認審査と融資についてはゴールドマンに任せていた。
ただ、後払いサービスの金額は少額で、かつ支払期間も短いことから、社内では貸し手になることへの不安が和らいでいる、と関係筋は話している。1回当たりの限度額は1000ドル(約13万4000円)で、各ユーザーが利用できる金額は本人の信用リポートやスコアによって決まる。
関係筋によると、アップルはこれに加え、本人確認や不正防止の目的で、自社で抱える数百万人の顧客情報を活用する見通しだ。長期間にわたる優良顧客であり、不正が疑われる形跡がないアップルID保持者は、承認される公算が大きいという。
アップルは後払いサービスの利用に関して、デビットカードとひも付けすることを顧客に義務づけると説明している。消費者が選択を拒否しない限り、2週間おきに銀行口座から自動的に引き落とされる仕組みだ。同社は「ユーザーの経済的な健全性に留意」して、サービスを設計していると話している。
内情に詳しい関係筋によると、アップル幹部はこれまでのクレジットカード事業の経験から、クレジットカードを使える顧客でも、金利の支払いや長期的に借金を抱えることを避けるために利用しない傾向があると確信した。アップルの後払いサービスでは、金利はゼロで延滞料もない。
アップルはマスターカードの決済網を通じて参加する加盟店を広げる。ゴールドマンはスポンサーとなり、顧客がアップルの後払いサービスを利用した時に加盟店が受け取る16桁のカード番号を実質的に発行する。
ゴールドマンの広報担当者は、後払いサービス導入による提携拡大を歓迎しており、今後もアップルとの協業を広げることを楽しみにしているとコメントした。
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~私見~
やっぱり金融ってなんやかんやで儲かる!
というのがサービスを提供している会社が
思う事なのかもしれないですね
小売やメーカーでもサービスを提供している
会社は金融を持ちたがる。
規模が小さければ他社に任せる方がいいかも
しれないがある程度の規模になれば
圧倒的に自分でやったほうが良いという
判断になるんでしょう。
特にアップルなんかだと信者多いので
ほいほい何でもやってしまいそう。。。と
思うのは言い過ぎかもしれませんね
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