米ハイテク株の覇権時代、いよいよ幕切れか
米株式市場でハイテクがここ10年余りで最も激しい売りを浴びている。2000年の情報技術(IT)バブル崩壊で痛手を被った記憶から、一段の下げに身構える動きも出ている。
S&P500種指数のITセクター指数は年初から7日までに19%下落。年初来の下落率としては2002年以来の大きさとなっている。S&P500全体では13%の下げで、両指数の下落率の違いは04年以来の大きさだ。モーニングスター・ダイレクトのデータによると、ハイテク株に特化した投資信託や上場投資信託(ETF)からは4月末までに76億ドル(約1兆0170億円)が流出。データがさかのぼれる1993年以来で最大規模に達した。
ハイテク株は長年、株式市場全体を大きく押し上げ、主要株価指数は幾度となく過去最高値を更新してきた。クラウドからソフトウエア、ソーシャルメディアに至るまで、テクノロジーに新たなトレンドが出現するたびに市場全般に熱狂が広がった。新型コロナウイルス禍に見舞われると、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的に金融緩和に乗り出し、リスク資産に対する飽くなき欲望を誘発した。
ところが、今年に入り、投資家は一転して異なる環境に直面している。米国債利回りは2018年以来の水準に急上昇。強気のオプション取引や特別買収目的会社(SPAC)、暗号資産(仮想通貨)など、ここ2年のうちに広がったトレンドの多くが逆回転した。S&P500のセクター別指数でプラスを維持しているのは、エネルギーと公益のみだ。
こうした中、10年余りに及ぶハイテク株の覇権時代は終わりを迎えつつあるとの声も出ている。投資指標から割安な銘柄に資金を投じるバリュー投資家は、石油大手エクソンモービルや飲料大手コカ・コーラ、たばこ大手アルトリア・グループといった銘柄が待望の復活を遂げる中で勝利宣言している。
S&P500バリュー指数は、電気自動車(EV)メーカーのテスラや画像処理半導体(GPU)大手エヌビディア、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)などで構成されるS&P500グロース指数をアウトパフォームしており、その差は17ポイントと2000年以来の大きさだ。また、グロース株ファンドからは480億ドルが流出する一方で、バリュー株ファンドには130億ドルが流入している(データ提供会社EPFR調べ)。
足元のハイテク株売りと数カ月にわたる相場の急落が2000年のITバブル崩壊と重なると指摘する声は多い。当時はテクノロジーによるイノベーション(技術革新)への期待に低金利が加わり、インターネット株にマネーが殺到。だが、バブルははじけ、ナスダック総合指数は2000年3月〜02年10月に約8割の下げを演じた。
今年は、個別のハイテク株が時にはたった数時間で、過去最大の急落を演じ、巨額の時価総額を失った。メッセージアプリ「スナップチャット」を運営するスナップは5月下旬に1日だけで43%急落。1日としては過去最大の下落率となり、時価総額およそ160億ドルが吹き飛んだ。後払い決済大手のアファーム・ホールディングや仮想通貨取引所大手コインベース・グローバルなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだったフィンテック銘柄も今年に入り、株価がおよそ半減している。
巨大ハイテク株も無傷ではいられない。旧フェイスブックのメタ、ネット小売り大手アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、グーグル親会社アルファベットで構成する人気の「FAANG」銘柄は軒並み年初来2桁の下落率で、S&P500よりも下げがきつい。
この容赦ない下げを目にして、株式市場では次にどの分野が売りの標的になるのか臆測が絶えない。
資産運用会社GMOのアセットアロケーション共同責任者、ベン・インカー氏は「バブルがはじけると、単に適正価格まで下げるだけではない。それまでと正反対の方向に向かう傾向がある」と話す。
バリュエーションが行き過ぎとの見方からグロース株をここ1年余り空売りしてきたインカー氏によると、バリュー株に対するグロース株のプレミアムは歴史的な水準を上回っている。
バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のストラテジストは5月27日、大きく売られた現在でも、テクノロジー株はなおS&P500の27%を占めており、その比率はITバブル以来で最も高い水準にとどまっていると指摘。その上で、ハイテク株の大半について、押し目買いを入れるのは時期尚早だと警鐘を鳴らしている。
とはいえ、現在の状況とITバブルには重大な違いがあると指摘する声もある。ハイテク株のバリュエーションは近年、著しく跳ね上がったものの、それでも2000年3月の水準には達していない。向こう1年の利益見通しに基づくS&P500の株価収益率(PER)は当時26.2倍だったのに対し、今回は2020年9月のピーク時点でも24.08倍だった
米国債利回りはここ数カ月、上昇基調にあるが、なお過去の水準を大きく下回っている。米10年利回りは足元で3%程度だが、2000年は約5%だった。
FRBが利上げ局面の初期にあることは間違いない。市場関係者はFRBが年内、利上げを継続するとの見方で一致している。つまり、米国債利回りも上昇し続ける公算が大きく、そうなればハイテク株などグロース株にはさらなる圧力がかかりそうだ。金利が上がれば、企業の将来的なキャッシュフローの価値は低下する。
前出のインカー氏は、金利が上昇し続ければ「株式市場はさらに相当下がる必要が出てくる」と話す。「すべては金利がどの時点で天井をつけるかに大きく左右される」
他方、ハイテク株の覇権はまだ終わっていないとみる向きもある。
テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンドのコールオプション(買う権利)に対するプットオプション(売る権利)の比率が高止まりしており、これはテク・セクターが最悪期を脱したかもしれないことを示唆する逆張り的なシグナルだ。サンディアル・キャピタル・リサーチのアナリスト、ジェイ・カエッペル氏はこう指摘する。
ティー・ロウ・プライスのポートフォリオマネジャー、デービッド・アイスワート氏は「物事は一直線には進まないことが分かった」と話す。「単に複数のハイテク株で構成されるバスケットを買ってもダメだ。選別する必要がある」という同氏。アマゾンなどハイテク株の一角は最近の急落で妙味が増しており、これらの銘柄についてはエクスポージャーを積み増す可能性があるという。
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~私見~
バリュー株の時代が来たぁぁぁぁ!!と声高に
叫んでおられる方は米国だけにとどまらず
日本にもたくさんいらっしゃいます。
確かに今年はグロースよりもバリューなんでしょう
エネルギーセクターは今年爆上りしています。
ただ、バリュー株投資家って単年で毎年
見てるんですか??って聞きたいです
バリューでもグロースでも長期投資を
行っている人は長期で物事を見ています。
なので今年バリューが勝ったって誇ったところで
10年後、20年後にバリューかグロースか
どっちが上昇しているんでしょうか??
正直自分の投資スタイルと違った相手に対して
いちいち気に障ることを言わんといて
欲しいというのはおナスは思います。
もちろんグロース長期投資家が別のスタイルの
投資家を煽っていることもあるでしょう
そこは全員自己責任のもとでやってるんだから
アドバイスが欲しい!!って頼まれたら
いくらでもご高説を垂れればいいんでしょうが
求めてないのに勝手にしゃべらないで欲しい
で、ハイテクは一部の新興銘柄は目も当てられない
くらい下がってますが、それって冷静に判断したら
誰もが高いと思うんじゃないでしょうか?
それを欲につられて高い値段で買ってるんだったら
それはそれでその人の責任でしょう
また、新興企業の中でも正直それって
ハイテクなの?ってのもチラホラありそう。
なので本当に将来に向けて飛躍的に伸び行く
企業は伸びていくしあかんところはダメなまま
そんな感じでイケてるところを集めたのが
ナスダック100なのでメッキがはがれた
銘柄はそのうち消えていくので我々のやる事は
淡々と安い所で仕入れるだけ!!ですね
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