デジタル決済、本格成長はまだ先か
――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
現金はまだ廃れていない。実のところ、これは多くの決済関連銘柄にとっては朗報だ。
新型コロナウイルス禍にデジタル取引とオンライン購入が急増したのは一時的なものであり、数年分の成長を先取りしたため、決済企業にとって成長余地がかなり少なくなったという大きな懸念が生じている。だがビザのバサント・プラブ最高財務責任者(CFO)は先週後半に開かれたバーンスタインの会議で、同社の最善シナリオに基づけば、コロナ禍における現金からデジタルへの転換ペースは、恐らくわずか1年ほどしか早まっていないと語った。
こうした現金の動向は、他の現金使用に関する最近のデータと連動している。米消費者の決済手段として現金の占める割合は、2020年の19%から21年は20%にやや上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が最近発表した消費者の決済行動に関する年次調査で明らかになった。FRBが初めて調査を実施した2016年以来、初めての上昇だ。
当時、現金の占める割合は31%だった。現金使用の回復は、21年の調査で対面での決済の占める割合が前年の調査と比べて上昇していることとも関係しているかもしれない。外出が増え、実店舗での買い物が再開したためだ。20年の調査では、現金使用は前年比で大幅に低下していた。対面での決済が激減したことが一因だ。現金使用の割合は19年の26%から20年は19%に低下した。
長期的に見れば、当面は現金の使用に硬直性があることに投資家は安心するはずだ。デジタル決済の潜在成長力がそのまま残っていることを意味しているからだ。ゴールドマン・サックスのアナリストは最近、現金からカードへの移行について、主要経済国では「終盤」よりも「中盤」で起きていると主張している。
このことは多くの顧客にとって意外な結果だったとし、「カード浸透の大半は後になってやってくると多くの投資家が想定していたとわれわれは考える」と先週のメモに記している。
また、コロナ禍前と比べ、オンライン購入の額と頻度が増していることも注目に値する。ビザは対面ではない米国内の決済額(旅行支出を除く)が5月に2019年同月比で173%増加したとしている。一方、対面での決済額は同127%増だった。
アメリカン・エキスプレスとマスターカードの株価は年初来で小幅に上昇している一方、ビザや決済サービスを提供するファイサーブ、フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ、グローバル・ペイメンツはそれぞれ5%弱下落している。
それでも、この分野の来年度の予想利益を基にした株価収益率(PER)は概して、過去と比べても高くはない。23年度の予想利益に基づくPERは約18倍だが、コロナ禍前の数年は21倍以上だった(ファクトセット調べ)。
加えて、向こう数年でデジタル決済の重要なきっかけが新たに出てくる可能性がある。ラエル・ブレイナードFRB副議長は5月の議会証言で、「現金使用の低下」がデジタル貨幣の発行を中央銀行が検討する理由になる可能性に言及した。
言うまでもなく、デジタル化されたドルが、たとえ採用されたとしても、実際にどのように決済システムで利用されるかはまだ不明だ。
インフレもある。コロナ禍で米国民が家や車などにため込む現金保有残高は増えており、19年の調査では平均241ドルだったが、21年調査では347ドルに増加した。
ただ、金利が上がり、物価高騰を目の当たりにして、消費者は現金を手元に置く気が薄れる可能性がある。そうした変化は、多くの決済・デジタル金融銘柄にとって安心材料と言えるかもしれない。
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~私見~
中国のデジタル決済化はだいぶ進んでいるようだが
アメリカはまだそこまで進んでいない?
アメリカがまだなら日本なんてまだまだまだまだかも
しれない。。。
○○payの乱立はひとまず落ち着いているのかも
しれないが今後はダメなところは
どんどん減っていくんでしょうね。
また毎月25日の風物詩であるATMに長蛇の列は
いつになったら解消するんかな??
結局あれって現金をおろして現金を使いたい
人たちが現金をおろすために
並んでいるんだからデジタル決済とは
真反対にいる層なんでしょうし
ただなんでもデジタルってなると
そういう機能が停止した場合混乱が
想像を絶するものになりそうだからそれは
それで怖いよねって思います。
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