年収10万ドル欲しい？ 米大手企業の給与事情
大半の米大手企業では、報酬の中央値が新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）前より高くなった。労働市場の引き締まりなどを背景に、多くの銀行窓口担当者、工場労働者、ソフトウエア・プログラマーの給与が引き上げられている。
ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）の分析によると、S&P500種指数構成企業のうち、2021年の計算上の中央値に位置する労働者の報酬が2019年の水準を上回ったのは275社で、このうち150社では2019年比で10％以上増加した。報酬の中央値が10％以上減少したと回答した企業はその半分にとどまった。
ネットフリックスと鉄鋼メーカーのニューコアを含む140を超える企業が、昨年の報酬の中央値が10万ドル（約1280万円）以上だったと回答した。一方、ウォルマートとホーム・デポなど30社超では、中央値が3万ドルを下回った。
昨年は、時間給労働者の争奪戦が業種を超えて激化した。一部の企業は、店舗、オフィス、空港の業務再開や生産能力拡大に伴い、新規労働者を集めたり、離職を防いだりするためにボーナスを支給した。過去2年の大半で、特に技術職や金融業務を中心とするホワイトカラーの需要が高まった。
4月の米失業率は3.6％と、米国がパンデミックに襲われる直前の2020年初めに記録した半世紀ぶりの低水準である3.5％とほぼ並んだ。3月の求人件数は1150万件と、失業中の求職者1人当たり2件近くに達し、離職件数は450万件だった。ともに過去最高の水準だ。
今年は、高額所得者も下位層も含め多くの労働者にとって報酬の伸びが見込まれている。アマゾン・ドット・コムは基本給の上限を16万ドルから35万ドルに引き上げる。アップルは米国の従業員の給与を引き上げ、時間給労働者の最低時給を22ドルとする計画を明らかにした。スターバックスは、勤続2年以上のバリスタに少なくとも5％の賃上げを約束しており、バンク・オブ・アメリカは、7月から米国の従業員の最低時給を22ドルに引き上げる予定だ。
WSJは、調査会社MyLogIQから提供された有価証券報告書のデータを使い、450社近くの年次開示資料を分析した。米国の上場企業は2018年ごろから、世界の従業員の中から中央値の報酬を得ている従業員を特定し、その従業員の報酬を残業手当やその他の手当を含めて開示するよう義務付けられている。その計算方法は、最高経営責任者（CEO）やその他の首脳陣の総報酬の出し方と同じだ。
企業は厳しいルールの下で中央値の報酬を得ている従業員の総報酬を計算しなければならない。そもそも中央値の報酬を得ている従業員をどう特定するかという点で企業は裁量を持つ。一部の企業は給与ないし賃金のみを使って、報酬額の最も多い従業員から少ない従業員までの順位を付けるが、ボーナス、歩合給や株式報酬を含める企業もある。WSJは分析対象の企業と連絡を取り、回答があった企業についてはその回答を反映させた。
以下にWSJの分析から導き出された主な結論の一部を紹介する。
・年収10万ドル超
2021年に中央値の報酬を得た従業員の報酬が高額だった企業上位25社のうち12社は、ハイテク企業、ないし、テクノロジー主導のメディア・プラットフォーム企業だった。フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズやネットフリックスなどだ。
WSJの分析でトップになったのは、グーグルの親会社であるアルファベットで、中央値の報酬を得た従業員の報酬は29万5884ドルと、2019年比で14％、2020年比で8％増加した。
サイバーセキュリティーのフォーティネットは、ハイテク分野で給与が急速に伸びていることを示している。フォーティネットの中央値の報酬を得た従業員は、過去3年にわたって同一人物だが、昨年の報酬が20万2875ドルと、2019年の12万2329ドルから大幅に増えている。
大半のウォール街の銀行とその他の金融機関では、パンデミック期間中の利益に後押しされ、スタッフに払う報酬が3年前より増えている。しかし、上位25社に入った金融機関は、アトランタに本拠を置く資産運用会社のインベスコのみだった。同社で中央値の報酬を得た従業員の昨年の報酬は18万7854ドルと、2019年の12万5282ドルから50％増加した。
・年収3万ドル未満
2021年に中央値労働者の報酬が3万ドル未満だったと回答したのは41社だった。2019年に同様の回答をした企業数は56社だった。これら企業の大半は、従業員の多くを時給あるいはパートタイムで雇用している小売業、スーパーマーケット、ファストフード・チェーンだった。
ホーム・デポの従業員の昨年の中央値報酬は2万8697ドルで、2019年の2万2652ドルから27％増加した。同社は2020年、パンデミック対応で、フルタイム報酬への100ドルの追加給付や時間外報酬を2倍にする措置を含む幾つかの給与支援策を実施した。
米最大の民間雇用主であるウォルマートの昨年の従業員の中央値報酬は前年比で21％増加し、同年12月に全米160万人の従業員のうち56万5000人以上の報酬が引き上げられた。同社は最近、社内のトラック運転手の初任給を年間11万ドルにまで引き上げている。
WSJの分析で報酬が最も低かった企業は自動車部品大手アプティブで、2021年の中央値報酬は直近2年間並の7402ドルだった。同社によると、中央値に該当する従業員は、「メキシコにいるフルタイムの時給制従業員で、同国で（他社に負けない）競争力のある給与は、米国の標準的な時給水準と大きく異なる」という。
・報酬の変動が最も大きかった企業
石油会社マラソン・ペトロリアムの中央値に位置する労働者の報酬水準は、パンデミック期間中に急上昇。2019年の2万7507ドルから昨年には14万8805ドルに達した。しかし2019年の計算には、コンビニチェーン「スピードウェイ」の労働者分が含まれていた。マラソンは昨年、スピードウェイをセブンイレブンに売却している。
スピードウェイと同事業の小売り担当パートタイム従業員を除いて計算した中央値労働者の報酬は、2019年の21万0248ドルから29％低下した。マラソンの広報担当者は、同社の報酬について、従業員の専門性に応じて支払われていると説明している。
新規採用の急増は、報告された報酬水準の大幅な変動につながった。新規採用者の報酬は通常、既存従業員より低いからだ。デルタ航空の中央値労働者の報酬は、2019年の11万8198ドルから2021年には41％減の7万0240ドルに低下した。これは、旅行者数が回復する中で同社が、大量の労働者を新規採用したためだ。デルタは昨年、約1万1000人を新規採用した。これは全従業員の13％以上に相当する。
複数の国で事業を展開する企業の中央値対象者の違いも、報酬の大幅な変動の要因となった。インターナショナル・フレーバー＆フレグランス（IFF）社の2019年の中央値労働者は、オランダのティルブルフ（Tilburg）の工場の労働者で、報酬は3万8981ドルだった。IFFの昨年の中央値労働者は、ペンシルベニア州の事業所の従業員で、彼の報酬は6万6105ドルだった。
報酬低下が最も著しかったのはカーニバル社だ。ただし、クルーズ船を運航する同社の乗客収容能力は、依然としてパンデミック以前の水準を大きく下回っている。運航面の障害が続く2021年の同社の船舶搭乗員（計6万4988人）の中央値労働者の報酬は、8658ドルとなった。従業員数が15万4161人だった2019年の同報酬は、1万5429ドルだった。
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～私見～
年収１０万ドル（日本円で1,300万円程）って日本では
すごい高給取りのイメージだけどアメリカでは
それでも生活がままならないっていう感じの
場所もあるみたい。それだけ物価が高いってこと
なんでしょうけど、日本は給料上がらないけど
物価もそれほどあがっていない感じである。
でもそれも物価があがっていない感じであった。と
過去形にしなくてはならないくらい
物価上昇のエネルギーが充満していて
もうチラホラ物価はどんどん上がっている
所も見受けられる。
物価の安定が崩れた日に果たして給料は
それに応じて上がるのだろうか？
多分、難しいんだろうね。。。
給料を上げるためにモノの値段を上げたら
物価が上昇の繰り返しになってしまう
日銀なんて既に機能してなさそうだから
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