いちのりの資産運用日記

積立投資しながら大暴落を待ち望むオトコの投資人生

ナスダック100関連ニュース【イケイケITも風向き変われば大手へGO!】

IT人材、巨大企業に一段と集中か 安定志向で

 

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト


 IT(情報技術)人材の獲得競争が新たな段階に突入している。そして、その勝者は世界の名だたるIT大手になりそうだ。

 アップル、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズは長年、エンジニアなどの高技能人材を互いに奪い合ってきた。また、資金豊富なスタートアップ企業をはじめとする他のIT企業の多くは、いつか巨額の富を生む可能性のある株式を餌にそうした人材を引きつけてきた。だが今、IT業界は株価低迷と業績予想の下方修正に見舞われ、企業の規模を問わず採用を減速しており、人員削減さえ断行している企業もある。しかし、こうした困難な状況にあっても、巨大IT企業は今、勢いを増す嵐から逃れようとする労働者に安全な港を提供している。

 その嵐には、さまざまな原因がある。利上げを受けて投資家がパニックに陥り、利益よりも成長を優先してきたIT企業の株を投げ売りしていること。同様のパニック売りが暗号資産(仮想通貨)でも起こっていること。機関投資家が高リスクなスタートアップ企業の後期段階の投資を凍結し、多くのスタートアップ企業が資金調達を休止したり、評価額の引き下げを受け入れたりしていること。こうした事態に加え、アップルのプライバシー規定の変更や、中国のコロナ感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)とウクライナ戦争による世界経済への影響が、メタやスナップなどの指標銘柄の売上高伸び率を低下させ、投資家を一段と警戒させていることがある。

 こうした経済的な強風が強まる中、巨大IT企業には多くの有利な点がある。手元資金が記録的な水準に積み上がっており、それらのリソースを人材獲得に利用することが、現在の景気低迷を勝ち抜くための手段の一つとなっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は25日、アップルが従業員の賃金を引き上げると報じたほか、同社は現金賞与を増やすことも計画している。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は先週、成果ベース昇給向けの予算を世界でほぼ倍増することを明らかにした。

 市場がピークを付けた昨年終盤から今年初めにかけて、他の巨大IT企業も現状に多大な影響を及ぼしかねない形で人材に投資する方針を明らかにした。アマゾンは2月、従業員の現金給与の上限を2倍に引き上げることを通知した。グーグルの親会社アルファベットは昨年10月、理由や規模をほとんど問わず現金賞与を与えられる新たな制度を明らかにした。

 この結果、景気低迷が過ぎ去ったときには、巨大IT企業が一段と強くなっている可能性がある。なぜなら、ITは恐らくエンターテインメントを除き、人的資源――コードという「城」を築き、この業界の基盤となるハードウエアを構築する知識と技能を持った労働者――が最も物を言う業界だからだ。

<軟化する労働市場>

 ここ数週間は、規模の大小を問わず、一部のIT企業の従業員にとって厳しい状況が続いている。

 「バイ・ナウ・ペイ・レータ―(BNPL)」と呼ばれる後払い決済サービスを専門とするクラーナ・バンクは23日、7000人の従業員に対し、その10%を削減すると通知した。この数日前、ソフトバンクが出資する同社は資金調達を目指しているが、評価額が1年前と比較して3割ほど下がる可能性があるとWSJが報じていた。フィンテック企業ロビンフッド・マーケッツは先月、正社員の9%を削減すると明らかにした。

 採用の継続を約束した巨大IT企業でさえも、ペースを落とす計画だと述べている。マイクロソフトは26日、ソフトウエア開発部門の採用を減速する方針を明らかにした。配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)も同業リフトのジョン・ジマー社長も、採用を減速するとしている。メタは一部のチームで採用を凍結すると表明し、より規模の小さい競合のソーシャルメディアツイッターとスナップも採用にブレーキをかけている。これらは一部の例にすぎない。

 総じて、超売り手市場だったIT人材市場が突如、冷え込んでいる。

 しかし、こうした低迷は、少なくとも今のところ、需要の消失を意味するものではない。人材スカウト業者や人材の争奪戦を繰り広げているIT企業のCEOはそう指摘する。適切な技能を持った労働者の需要はこの1年、非常に高い状態が続いており、解雇された労働者は窮地を脱し、不満を持つ労働者は職場を離れる可能性が高い。つまり、両グループとも別の企業ですぐに職を見つけられるということだ。

 

ソフトウエアのエンジニアや製品管理者、設計者、マーケティングスタッフ、営業要員の需要が軟化すれば、採用を続ける企業にとっては候補者を見つけやすくなるだろう。そう話すのは、IT業界で28年働き、米ワシントン州シアトルに拠点を置く人材紹介会社フューエルタレントのCEOを務めるショーナ・スワーランド氏だ。最近の低迷までIT人材需要は「常軌を逸した、持続不可能な」水準にあったため、そうした職種の候補者の需要が完全に消滅することはないだろうと同氏は指摘する。

 求人検索サイト「インディード」のエコノミスト、アンエリザベス・コンケル氏は「こうした人員削減や採用凍結の発表を受け、労働市場の指標に警戒すべき点が少しでもないか探ったが、見つからなかった」とし、「労働者にとって解雇は常につらいものだが、労働市場が依然、非常に引き締まっているのは、明るい兆しだ」と述べた。

 インディードのソフトウエア開発者の求人件数は5月13日時点で、2020年2月のコロナ前の基準値を125%上回っている。サンフランシスコ・ベイエリア地区のITだけではない全求人件数も、同基準値を36%前後上回る水準で安定している。

 最近の発表によって醸成されたIT求人に関する見方は、大手IT企業がより良い人材を採用する手助けになる。そう話すのは、十数社を率いた経験を持つスタートアップ再建のスペシャリストで、2000年の最初のドットコムバブル崩壊以前からIT業界で幹部を務めるマット・ヒューレット氏だ。

 

また、最近穴埋めできずにいた欠員を補充するのにも役立つ可能性がある。今年に入ってIT株が下落し、企業が売上高見通しを引き下げるまで、2021年のような労働市場は、最も過熱していたウェブ1.0の時期でさえも、目にしたことはなかったとヒューレット氏は述べた。

<安全な企業への人材流入

 向こう数カ月、あるいは米国がリセッション(景気後退)入りした場合は向こう数年にわたり、巨大IT企業が労働者を手中に収めるのを手助けしそうな要因がいくつかある。

 前出のスワーランド氏によると、短期的な要因としては、採用減速を発表した企業が従業員や求職者に与える心理的な効果が考えられる。この種のニュースによって、既に「安全な」企業に雇われている人たちは会社に一段ととどまるようになり、求職中の人はどんな求人でも受け入れるようになる可能性が高いとスワーランド氏は指摘する。

 企業評価サイト「グラスドア」のエコノミスト、ダニエル・ザオ氏によると、同氏が5月に実施した調査では、米IT企業の正規・非正規社員の約76%が雇用主の業績見通しを楽観視していた。この数字は高いように見えるが、2020年3月のコロナのパンデミック(世界的大流行)発生以降で最も低い。

 「こうした時期には、(巨大IT企業の)安全性に引かれる人材もいる」。個人情報保護に関わるサービスを提供するスタートアップ企業スカイフローのCEOで企業向けソフトウエア大手セールスフォースの元バイスプレジデント、アンシュ・シャルマ氏はこう話す。

 米労働統計局のエコノミストが、2000年のドットコムバブル崩壊シリコンバレーの労働者に与えた影響を振り返った2009年のリポートは、われわれが現在経験しているような景気低迷時にどのようなことが起こるかを予測する上で、教訓になるかもしれない。

 ドットコムバブルが崩壊してからシリコンバレーで人員削減が始まるまでに丸1年を要したが、2008年までには合計約50万の雇用のうち8万5000以上の雇用が喪失した。奇異なことに、この雇用喪失の時期、ほとんどのIT業界にとって、シリコンバレーの雇用の集中は他の米国の地域と比較してむしろ加速することになった。一方で、シリコンバレーのIT職の賃金は、2001年の9万7344ドル(現在のレートで約1140万円)から2008年には13万2351ドルと、米国の他の地域を大幅に上回るペースで伸びた。

 

 言い換えれば、米IT業界の中心地では実際に雇用が喪失している時期でさえも、企業は人材探しを継続し、米国の他の地域のライバル企業に競り勝っているということだ。

 最初のドットコムバブル崩壊と今回との大きな違いは、リモート勤務の普及だ。場所を問わず働いたり、採用したりできることが追い風となり、比較的安全な大手IT企業への人材流入が向こう数カ月で促される可能性があるとヒューレット氏は指摘する。

 

以前は、アマゾンなどの企業に転職するには、家族ごと本社のあるシアトルやサテライトオフィスのある地域に引っ越さなければならず、地元の人脈を放棄しなくてはならなかった。しかし、大手IT企業が(一様ではないものの)リモート勤務を受け入れるようになったということは、資金豊富な企業はどこででも人材を見つけ、引き抜くことができるということだ。

<二方向への破壊>

 米国の現在の経済状況に関わる全てが、労働者の大手IT企業への流入を促すわけではない。例えば、リモート勤務は労働者を大手IT企業に向かわせる一方で、それらの企業から離れさせてもいる。共働き世帯は、一方の配偶者の仕事のために他方の配偶者が仕事を辞める必要がなくなり、もっと柔軟に働けるようになった。また、最も優秀な部類に入るエンジニアは依然、仕事を選び放題であり、スタートアップ企業など、自らの影響力を発揮しやすい職場で仕事を探している場合もある。

 しかし、ほとんどのIT労働者にとって未来は、報酬が破格の水準に競り上がっていた最近までとは様相が大きく異なる可能性がある。ヒューレット氏は、基盤となる経済が企業と従業員の双方に打撃を及ぼすにつれ、「巨大IT企業が最も優秀な人材を手に入れるようになるのは確実で、報酬も以前ほど支払わなくなるのも確実だ」と述べた。

 

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私見

大手のIT企業でも雇用の調整をしているそうですが

それに反して大手ITへの希望者が増えている様です。

 

イケイケのIT企業で一発逆転を狙ってたけど

少し風向きが変わると一気に環境が悪化するのを

目の当たりにしたIT技術者たちが

大慌てしているのが目に浮かびます

 

結局は利器をしっかりと確保出来ていて

現金もしっかり貯め込んでいる大手が

強いんですね。

 

IT企業はおナスが働くには縁のない業界ですけど

投資ではしっかりと関わっていきたいので

これからも期待してま~す!!

 

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