大荒れの米株相場、どう乗り切るべきか?
――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト
冷静を保ち、普段通りの生活を続けよ。
個人投資家の多くにとって、これは単なるミーム(はやりネタ)、あるいはTシャツに書かれたメッセージにとどまらない。むしろ、生き方そのものになっている。
今年に入って米国株は14%余り、米国債が総合的に約9%の下げになっている状況で、筆者はこのほどアマ投資家に足元の相場下落にどう対処しているか質問してみた。
ウォール街のプロは個人投資家について、認識の甘い、非現実的な楽観論者の集まりで、株高局面で買われている銘柄を追い、不吉な兆候が表れるとわれ先に市場から逃げ出すとみている。
実際に個人投資家と話をしてみると、これがいかにばかげた見方であるか、すぐに気付く。
個人投資家の多くはむしろ、理論整然として思慮深い。過熱と冷却を通じて鋼鉄(スチール)が強くなるように、相場の浮沈を経験することで鍛えられている。
まず、絶妙な氏名を持つライル・スチールマンさん(43)の事例を挙げよう。クリーブランド・オーケストラのトランペット奏者であるスチールマンさんが投資を始めたのは、ちょうど世界的な金融危機が終わった後の2009年だった。
彼は数年前、各5ドル程度で木製のブル(雄牛=強気)とベア(熊=弱気)の置物を購入した。これを意図的に小道具として使って「すべてを逆転させ」「自分からポートフォリオを守る」という。
「赤(株価下落)を目にして、自分の感情に任せれば、手を止めるのは分かっている」と話すスチールマンさん。「だから、ブルをコンピューターの横に置いて、短期的に厳しさを増している時こそ、長期的には多くの利益を得る機会になると言い聞かせている」
一方で「相場が値上がりしている時は、興奮してさらに資金をつぎ込みたくなると心得ている」とし、「その場合にはベアをそこに置いて、将来のリターンは低下する可能性が大きいと心にとどめるようにしている」と話す。
かつて小規模な製造会社の経営者だったジョイ・ビショップさん(73)は、自身の考えを記録するため、几帳面(きちょうめん)に投資日記を続けている。
株価が上がれば、彼女はこう自身に問いかける。「相場が明日20%下落したとしたら、何を変えておけばよかったと思うか」
強気相場がピークに近づいていた昨年11月、ビショップさんは株式保有を1割削減。値上がりが目立つ株を追うのではなく、距離を置いていった。
ビショップさんにとって、今年の株急落は惨事ではなく、むしろ利益を得る機会だと映る。株価が下がると、彼女は買いに備えている。
「売られている優良株を狙っている」
エネルギー業界で財務幹部を務めていたポール・ジェイコブさん(63)は、財務分野での経験が自身をトレーダーに変えることはなかったと話す。むしろ、ポートフォリオを自動運転モードで運用する目的でスプレッドシートを活用している。
こうすることで、相場がどのような状況に見舞われようとも、「冷静に」心の平穏が保てるという。「自分がコントロールできることに集中する」
ジェイコブさんは退職時期に合わせて目標期日が事前に設定されたバンガード社のポートフォリオ戦略を踏襲するような上場投資信託(ETF)をいくつか保有している。
相場が上下に激しく振れると、十分に値上がりしたものを売り、十分に値下がりしたものを買って、保有比率を事前に設定した水準に戻して調整を加えているという。
5月半ばには、短期物価連動債ファンドの一部を売り、株と普通国債を購入した。
その過程があまりにも機械的だったので、「日々の雑音を無視して、必要な時に限って行動する」ことができたとジェイコブさんは話す。
歯科矯正医のジム・ウッズさん(68)は投資信託やETFよりも、個別銘柄を選好する。
ウッズさんの投資戦略をみると、まるで米著名投資家のウォーレン・バフェット氏がデイトレーダーのように思える。ウッズさんは地元のケンタッキー州パドゥーカにあるコンピューター・サービシズという会社の株を42年持ち続けている。アップル株も保有25年だ。
ウッズさんは株価が下がる中、さらに持ち株を積み増し、新たな株を加えている。
「市場が上下双方向に過剰反応することに慣れた」と話すウッズさん。「売買は自分にとっては理にかなわない。これらの保有株を本気で売ることは決してないとかなり確信している」
2021年には、新米トレーダーがネットの株売買で巨額の利益を上げ、一時話題をさらった。映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスやゲームソフト小売り大手ゲームストップといった銘柄が暴騰し、地に落ちた。
彼らの向こう見ずな行動にウォール街(プロですらアマ投資家のペースについて行けなかった)では当時、嘲笑が漏れた。
だが、スリル満点の体験を渇望するような人物は典型的な個人投資家とは言えない。彼らは極端に異常な例であり、景気刺激策による軍資金を抱え、自宅待機をせざるを得なかった新型コロナウイルス禍という不測の事態の産物だ。
筆者が話をした人々も普通ではないだろう。彼らは全員、長期的な視点に立って市場を展望することを目指す筆者のニュースレターの購読者だ。
一般の市民は一段と気まぐれだろう。ただ、ウォール街が考えているほど気まぐれではない。米国投資信託協会(ICI)によると、3月31日以降、株式の投資信託とETFから510億ドル余りが流出した。かなりの規模のように思えるが、実のところ、株式ファンドの総資産からみれば極めてわずかだ。
過酷な弱気相場に突入していた1970年代、個人投資家はまるで沈みかけの船から逃げるかのように、毎年ゆっくりと株式を断念していった。
これが再び起こるのか。そうかもしれない。しかし、現代の投資家の決意を揺らすには、今年の相場急落以上のものが必要になるだろう。
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~私見~
一般投資家と言っても様々だ。
昨日始めたばかりの投資家も
今年の1/1から始めた投資家も
この道50年の投資家もそれを生業に
していなければ『一般投資家』である。
長ければ長いほどいい投資家でもない
おナスなんてもう20年くらい
株式始めて経過しているが一向に
上手くいってるように感じない
ただ、昔に比べていい意味で諦めているから
今はいくら損してても心が平穏なんだなと
思う事がよくある。
昔はそれこそ本屋に行っては片っ端から
すぐに儲かるような事が書いてありそうな
本を読み漁ったり本を買ったりして
家でもチャートと睨めっこしたりしていたけど
今はどうせ思いっきり下げたとしても
持ってればその内上がるっしょ!!
だからこの誰もが逃げ出す時でも
淡々と買っておけばいい。。。
ってことで短期では億り人には
なれなくても投資していく中で自分が
嫌だなこの感覚。ってならないような
投資スタイルをしていれば含み損には
何のドキドキも感じない
これが一応20年くらいやってきて
いっぱい損してきて得られた能力なんかな
と思ったりしています。
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