現実を見始めたテク企業、まだ市場で報われず
――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
米国のハイテク株はバブルがはじけてしまったのか、それとも一段と強固なバブルを形成する途中で上昇が一服しているに過ぎないのかという問いは、誰に尋ねるかで答えが変わる。だが、イノベーション(技術革新)絶対主義者の楽観ぶりは、日ごとに行き過ぎの様相を呈している。
ハイテク業界の多くの企業は現実を受け入れていることを示唆している。米メディア・インターネット複合企業IAC/インタラクティブコープのジョーイ・レビン最高経営責任者(CEO)は5月に株主に宛てた書簡で、戦争やインフレ、世界的なリスク再評価の動きが、企業評価の枠組みを適切に見直すよう促しており、そうした状況は当面続くと予想されると述べた。
一方、著名投資家のキャシー・ウッド氏は自身のオンラインセミナー「In The Know」で、世界と市場の両方で突如出現したこれらの問題がさらなる技術革新の機会をもたらしていると主張した。
このところハイテク銘柄はほぼ全面安となっている。投資家が「何が何でも成長重視」から「利益・キャッシュフロー創出重視」に急転換したためだ。例えば、IAC株はこの12カ月で48%安、ウッド氏が運用するアーク・イノベーションETF(上場投資信託)は62%安に沈む(ファクトセット調べ)。
最近ハイテク業界で最も大きな話題となっているのは「過去の清算」だ。動画配信大手ネットフリックスのリード・ヘイスティングス共同CEOは長年、広告を表示することに否定的で、広告は一種の搾取とまで言っていたが、同社は4月、広告を導入する方針を明らかにした。かつて野心的だったエクササイズ用バイクメーカーのペロトン・インタラクティブは、創業者を経営から退かせ、製品価格を引き下げた。さらに、アクセス性が向上する将来に期待して、自社製品と新たなサブスクリプションの抱き合わせ販売にも踏み切った。メッセージアプリ「スナップチャット」を運営するスナップは今週、オンライン広告の伸びが市場予想を上回るペースで鈍化していることを明らかにした。これを受け、ソーシャルメディア株が急落した。
さらに、不動産情報サイトのジロー・グループは、ハイテクを活用した住宅短期再販事業「iBuying」に特に大きな期待を寄せていたが、同事業から撤退した。同社のリッチ・バートンCEOは「リスクが高すぎで(収益が)不安定すぎる」ことに加え、「株主資本に対するリターンの機会が少なすぎる」と理由を説明した。
イノベーション・プレミアムはもはやこれまでだ。これら4社の株価はこの12カ月で平均73%下落している。すなわち、各社の現実主義への転換はまだ市場で報われていないのだ。だが、無限の成長をなお夢見る企業は、さらに大きな墓穴を掘っている可能性もある。
配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズのダラ・コスロシャヒCEOは5月に社員に宛てた電子メールで、市場が成長重視から転換したことを認めながらも、食品配達などの分野で成長をさらに加速させたい考えを示した。同氏はウーバーのトラック配車サービス事業(ウーバーフレイト)について質問する投資家が最近は10%に満たないことに不満を漏らした。「投資家に価値を認めてもらい、私と同じくらい愛着を持ってもらえるよう、フレイト部門をさらに拡大させる必要がある」とした。
専業の「iBuyer(ハイテクを活用した住宅短期再販業者)」であるオープンドアは、「全国的・全市場的な企業」になることを目指している。直近の決算報告の時点で同社の展開地域は48市場にとどまり、全米の残る88%の地域に商機があると思われる。オープンドアの1-3月期(第1四半期)決算は黒字を確保した。ただこれは、住宅市場が異例の強さを示し、売上高が590%も増えた中でのことであり、長続きしそうにない。
意外にも、ウッド氏のアーク・イノベーションETFには今年だけで約14億ドルの資金が純流入している(ファクトセット調べ)。
ナスダック総合指数が2000年初めにIT(情報技術)バブル時のピークを付けた後、再びその水準を回復するのに15年かかったことは問題ではない。ウッド氏は投資を5年単位で考えているという。同氏の調査によると、足元の市況はハイテク・テレコムバブルのそれとは全く異なる。2000年代初頭に破綻した「シード企業」は売上高が減少したのに対し、同氏の投資先企業はまだ売上高の増加を見込んでいることなどが理由だという。当然ながら、市場が最も熱狂的だったとされる時期と比べると、現在は万事順調のように見える。
ウッド氏は足元の市況について、「最強の強気相場は懸念の壁をよじ登っていくものだ。(中略)今回は懸念の壁が途方もない高さにまで達している」と話す。一方、同氏が運用するファンドは電気自動車(EV)大手テスラへの投資について、今後4年間で7倍近くのリターンを見込む。また、拡張現実(AR)関連の時価総額が2030年までに1000倍になるとみている。さらに最近では、暗号資産(仮想通貨)のビットコインが今後4〜8年で100万ドルまで値上がりするとの予想も示した。
その間にはいろいろなことが起こり得る。イーロン・マスク氏がツイッターに示した1株54.20ドルでの買収提案は、早くも「根拠なき熱狂」を地で行くかのような状況になっている。提案から1カ月余りしかたっていないというのに、ツイッターの株価が同氏の提示額を31%下回っているためだ。マスク氏でさえも、非常に大きな可能性を秘めながらも現在は課題まみれとなっている企業を過大評価していることに気付きつつあるようだ。
いずれにせよ、ハイテク業界に強気の投資家は、そうしたブラックミラー(不測の変化)をよく見ておく必要がある。
Copyright (c) 2022 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.
~私見~
2000年のハイテクバブルの時は会社名に
「ドットコム」とついていれば爆上げした。
結果はみなさんご存じの通り泡と消えた。
ただ、生き残った企業もいてそれが
今ものすごい企業になっている。
昨今のIPOブームで雨後のタケノコのように
出てきたハイテク企業達も利益が伴ってなくても
爆上げした時期があった。
でも、結局はしっかりと利益を上げ続ける事が
できなければいつまでも夢で株価が維持できる
訳ではないのは誰でもわかると思う。
またハイテクっぽいけど実はハイテクじゃない
企業もハイテクだと持てはやされてたけど
それももう剥落してきている。
ただ、そんな中でも10年後ナスダック100の
中心になっている会社があるのかもしれない
それを今から探すのは至難の業かもしれないが
ナスダック100全体に投資してれば
わざわざ探さなくても向こうからやってきて
勝手に組み入れられるから待ってればいい
大きく羽ばたくときには立ち会えなくても
十分にリターンを享受できるほどに
期待値はあるでしょうから。。。
<スポンサーリンク>